27:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 19:14:42.56 ID:bKqi92pu0
「……」
前方に、なにかがある。
最初は小さなものかと思ったが、行けども行けども辿り着けず、
それは俺の視野の中でどんどん巨大になっていく。
近づいていくと、それがごつごつした風合いのものであることがわかってきた。
これは……岩だ。
俺は岩を見ているはずだが、山を見ているような気分である。
それだけ、でかい。
上の方までは、とても霞んで見えない。
「……」
「……」
貴音が立ち止まったので、俺も立ち止まる。
一息吐いてから、貴音が口を開く。
「……お久しぶりでございます、お父様」
「えっ、お父様」
マジで。
スーツ着てくるんだった。
「……」
「……」
お義父様が現れる気配はない。
つい最近は岩に隠れているのだろうか。
俺は取りあえずシャツの襟を正し、姿勢を良くして、一番良い作り笑顔を浮かべる。
「……」
「はい」
「……」
「お願い致します」
「……」
俺が貴音を無視しているわけではない。
間違いなく貴音が岩に向かって喋っているのである。
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