過去ログ - 罪木蜜柑「カムクライズルは笑わない」
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11:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:56:33.95 ID:Y5kYTKfQo


 私たちが付き合い始めたきっかけは、日向さんからの告白でした。彼は、初めて私に「好きだ」と言ってくれた人でした。

 その時のことは、未だにはっきりと覚えています。むしろ、少しでも忘れることなんて考えられません。誰もいない教室で、彼はどこか照れくさそうに
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12:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:57:08.53 ID:Y5kYTKfQo

 後に聞いた所によると、彼が私を好きになったのは、彼が体育の授業で怪我をした時、私が治療したことがきっかけだったそうです。

 その時はまだ、予備学科から編入してきたばかりの日向さんはクラスに馴染みきっていなくて。どこか私たちに遠慮しているようでした。彼は

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13:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:57:38.05 ID:Y5kYTKfQo

 超高校級の保険委員として、私たちのような高校生の時期に精神が不安定になりやすいことなんて、知識の上では百も承知です。特に、私のような生い立ちの人間は。

 でも、”超高校級の保険委員”なんていってもやっぱり私は高校生で、わかっていても何かに縋らなくちゃ生きていけないのです。私がほしいものは結局、私の全てを受け入れてくれる人で、でも普通の高校生である日向さんにそんなことを言っても重たい女だと思われるだけだ、というのがわかってしまうのです。

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14:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:58:21.86 ID:Y5kYTKfQo

 最近、日向さんは少し様子が変です。何かを悩んでいるようにも見えました。それが特に顕著なのは、「才能研究」の授業の時間です。私たち”超高校級”の本科生は、普通の高校生としての授業の他に自分の才能を高めるための時間が用意されています。それが「才能研究」です。

 私は、もっぱら生物室で医学書を読んだり、保健室で実際に包帯を巻く練習をしてみたり……他の生徒たちも特に誰かに教わるということもなく、好き勝手なことをしているようでした。

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15:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 18:58:41.69 ID:C1/yGTWC0
期待しています
罪木崩しから見てます



16:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:58:49.42 ID:Y5kYTKfQo
 

 日向さんは私たちとの交流からなにかを吸収するために本科に来た関係上、才能研究の時間はもっぱら他の誰かと一緒に過ごすのが常でした。様々な才能に触れたほうがいい、ということで、いろんな人の後を日替わりでついてまわっていました。

 と言っても、それは私たちが付き合い始める前の話です。付き合いだしてからは、なんだかんだと理由をつけては、半分以上の時間を私に充ててくれていました。けれど、最近は。
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17:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:59:34.49 ID:Y5kYTKfQo


「日向さん……また、七海さんと一緒なんでしょうか」

 最近は、全くといっていいほど、私と一緒に来てくれません。とはいえ、それは私だけが避けられているというわけではなく。一人をのぞいて、皆がそうなのでした。
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18:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 19:00:03.23 ID:Y5kYTKfQo


 ――その日、私と日向さんは学校の屋上で二人、星空を見ていました。この学校は、一般的な高校とはかなり違います。研究機関としての一面もあり、泊まり込みで実験や制作を行う人も少なくありません。だから、宿泊設備もちゃんとあるのです。

 少なくとも私は希望ヶ峰学園からの奨学金で借りた安アパートに住んでいるので、家に帰ろうが学校に泊まろうが大した違いはないのでした。
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19:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 19:07:55.85 ID:oFcjikJTo

 そして、今、こうしてその希望ヶ峰学園に居られることを幸せに思う、と彼は話を締めくくりました。けれど、その横顔はどこか悲しげで。だから、私は思い切って聞いてみたんです。

「そのぅ……日向さんは、どうして希望ヶ峰学園に入りたかったんですか?」

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20:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 19:08:34.49 ID:oFcjikJTo

「でも、もっと高い位置から見れば、違う景色が見られるかもしれない。才能さえあれば、人生は違って見えるかもしれない。そう思ったんだ」

 そう言ったときの彼の顔は、いつもの優しい表情とは違って。私を拒み、否定し、疎ましがっているような冷たいものでした。

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21:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 19:09:05.40 ID:oFcjikJTo


 西園寺さんが「死神」の噂を教えてくれた、つぎの日。私がいつものように保健委員の仕事を終えて、教室に日向さんを迎えに行くと、そこに彼の姿はありませんでした。

 いつもならば彼は授業が終わったあと、私の仕事が終わるまで教室で時間を潰して待ってくれているのに。私は浮かんでくる嫌な考えを振り払うように、彼を探しに走りだしました。
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