過去ログ - 罪木蜜柑「カムクライズルは笑わない」
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2:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:48:39.30 ID:Y5kYTKfQo

 ――だけど、その私が。私どころか、この世の全てに興味を持たない”死神”であるところの彼に惹かれたのはどうしてなんでしょう。

 そうです、私は彼に惹かれていたのです。私に愛を与えてくれる人より、彼から与えられる愛を求めたのです。それは私の人生で――初めて自分 からなにかを求めた瞬間でした。

以下略



3:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:49:33.86 ID:Y5kYTKfQo



「死神の噂、ですか?」

以下略



4:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:50:01.89 ID:Y5kYTKfQo


「ちょっと、声が大きい! この噂って女子の間だけで流すことになってんの! 男子に回したやつのところには死神が来るんだって!」

「うは、日寄子ちゃんも死神信じてるんっすか!? てっきり馬鹿にすると思ってたっす! 唯吹と一緒っすねー」
以下略



5:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:50:29.52 ID:Y5kYTKfQo

 西園寺さんは、ときどき(というかいつも)私のことを”ゲロ豚”と呼んで罵ります。初めは、ああ、やっぱりここにも私をイジメる人がいたんだ、と思いましたが、それは違いました。

 西園寺さんはちょっと言葉がキツイだけで、とても優しい人です。私がお財布を忘れてしまった時、飲み物を買ってくれました。私が転びそうになった時、とっさに手を掴んでくれました。私が、自分の過去を三人に話した時……真っ先に涙を流してくれました。自分のことのように怒ってくれました。

以下略



6:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:50:58.01 ID:Y5kYTKfQo


「ちょっと、罪木! あんた聞いてんの?」

 気がつくと、西園寺さんのお顔が私の目の前にありました。他の二人もこちらを見ています。どうやら少し考え込みすぎてしまったみたいです。
以下略



7:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:51:27.25 ID:Y5kYTKfQo


「それで、なんのお話でしたっけ?」

「だから、死神の噂! そいつはね、誰かが人生で最も美しくなる瞬間に現れて、それ以上醜くなる前に殺すんだってさ! 最も、あんたはこれ以上醜くなりようがないけど」
以下略



8:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 18:54:31.93 ID:f3OhzOsHo
いんらんアイランドの人か!


9:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:55:15.23 ID:Y5kYTKfQo


 そうして話題はどんどん他のことに流れていき、そしてふと澪田さんが「そういえばお腹すいたっすねー」と言ったのをきっかけに、私たちは帰路につきました。 けれど、私はその間中、ずっとさっきの「死神の噂」について考えていました。もし本当に死神というものがいるとしたら……その人は私を殺すのでしょうか?

 正直、私に「美しくなる瞬間」なんてもの自体が訪れる気はしないけれど……今が、きっと人生で一番幸せな時だ、という気はします。あの頃の地獄に戻るくらいなら、死神に殺されるのも悪くはないかな、なんて。そんなことを考えました。
以下略



10:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:56:04.23 ID:Y5kYTKfQo

 こんな私にも、一応(と言っては彼に失礼だが)恋人がいます。彼の名前は、日向創さん。私は日向さんと呼んでいます。

 彼がこのクラスに入ってきた経緯は少し特殊です。彼はもともと「予備学科」(これは才能を持たない生徒も入れる、言い方は悪いが二軍のような場所)の生徒として入学しました。

以下略



11:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:56:33.95 ID:Y5kYTKfQo


 私たちが付き合い始めたきっかけは、日向さんからの告白でした。彼は、初めて私に「好きだ」と言ってくれた人でした。

 その時のことは、未だにはっきりと覚えています。むしろ、少しでも忘れることなんて考えられません。誰もいない教室で、彼はどこか照れくさそうに
以下略



12:1 ◆tA781uCnfc[saga]
2013/09/05(木) 18:57:08.53 ID:Y5kYTKfQo

 後に聞いた所によると、彼が私を好きになったのは、彼が体育の授業で怪我をした時、私が治療したことがきっかけだったそうです。

 その時はまだ、予備学科から編入してきたばかりの日向さんはクラスに馴染みきっていなくて。どこか私たちに遠慮しているようでした。彼は

以下略



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