過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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以下、新鯖からお送りいたします
[saga]
2013/09/12(木) 20:48:41.31 ID:MAqM1HVe0
「幻滅、しましたか」
「はい?」
「モデルの佐久間まゆは、庭付きの豪邸で、家族と優雅に暮らす、完璧な子みたいですから」
口にしてみて、自分の卑屈さに心が冷え込むよう。
無言のままでいる彼の視線が痛くて、思わず顔を背けてしまう。
「佐久間さん、一度、家の中に戻ってはどうでしょう。荷物も邪魔でしょうしね」
まゆは頷いて、気まずい空気から逃れます。
扉を開ければ、しんと静まり返った家が待っていて。
まゆがいない間、あの子たちは、どうしていただろう。
食事はおろか、掃除や洗濯、洗い物やお風呂だって、ひとりではできない子たちなのに。
居間に足を踏み入れて、深呼吸をひとつしてから、電気をつけます
「えっ……」
いつも、玩具が散らばり、雑然とした居間が、掃除した後であるように綺麗になっていました。
テーブルの上には、大皿に入ったカレーライスと、小皿のサラダとが、ラップ掛けにされています。
信じられない思いで、まゆはテーブルに近づきます。
見れば、カレーライスの具材も、野菜も、大きく不恰好で、包丁の扱いに慣れてない人が切ったみたい。
大皿の下には、二枚のチラシが挟み込まれていました。
『まゆ姉ちゃん、お仕事おつかれさまです。
いつも、ぼくたちのためにがんばってくれてありがとう。
まゆ姉ちゃんは、ぼくのじまんのお姉ちゃんです』
『いつも、優しくて、きれいで、いっしょうけん命なお姉ちゃんが、大好きです。
めいわくかけてばかりで、ごめんなさい。
お姉ちゃんみたいな、立派なお姉ちゃんに、私もなります。
体に気をつけて、お仕事がんばってください』
まゆは二枚のチラシを拾い上げ、壊れ物を扱うみたいに胸へと押しつけます。
寝室に向かって歩いていき、ふすまを開けました。
暗がりの中に、小さなふたりが、眠っています。
非の打ち所のない子たちというわけでは、ないけれど。
本当のまゆを見てくれる、大切な家族。
まゆは、眠る二人の頬に、そっと指先を触れさせました。
「ありがとう……お姉ちゃん、頑張るから」
お仕事を始めてから、はじめて流す涙が、ぽたりと布団を打ちました。
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