過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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20:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:58:03.95 ID:MAqM1HVe0
 そして、夏はまだ終わりません。

「まゆ、こんな仕事、本当に引き受けていいのか?」

「まゆは新米アイドルなんですから、仕事なんて選んでられませんよ」

「だからってなぁ、顔も出ないし、どうなんだ、これは……」

 渋い顔をしたプロデューサーも、なかなか素敵だって思います。

「前まで、こういう仕事は、耳に入るまでもなく蹴られてたんです。だから、たまには、こういうのも、ね?」

 新しく開店する、コンビニエンスストアのバックヤードで、まゆは可愛らしく首を傾げます。

「そこまで言うなら、止めないさ。それにもう、遅いしな」

「そういうことです」

 まゆの半身は、着ぐるみのウサギに覆われていて。

 今、ウサギの頭を、がぼりと被りました。

 結構、重くて……熱いです。

 ハードなお仕事になりそうです。

 傍らで、携帯電話の鳴る音がします。

「……えっ、乃々がレッスンに来ない? そうですか、すみません……後で、俺から話しておきます」

 電話が切れて、重い溜め息がひとつ。

「どうかしましたかぁ?」

「俺の担当する新人が、レッスンをサボタージュだ」

「病気とか、そういうのでしょうかね」

「あいつは、性格的に、色々な……今度会ったら、ちゃんと話さないと」

「まあ、女の子は、色々ありますからねぇ」

 まゆは一気に興味を失って、訳知り顔で、適当な言葉を返します。

 他の子の話をされるのは、あまり……いえ、とても、良い気分がしませんから。

「まゆ、もし……乃々に会うことがあったなら、先輩アイドルとして、頼むぞ?」

「……考えて、おきますねぇ?」

 まゆは、くすりと微笑んで。

「まあ、でも、少なくとも――」

 まゆは前を向き、つっかえそうになりながら、バックヤードを後にします。

 外では、強い日差しの下、オーナーのおじいさんが、フランクフルトを焼き始めていました。

 まゆは、全身ウサギの姿で、プロデューサーさんの肩を叩きます。

「まゆは、いつでも、お仕事に全力投球なんですよぉ。知ってましたか?」

「ああ、知ってる」

「それでこそ、まゆのプロデューサーさんです」

 着ぐるみの中、まゆは密かに微笑みました。


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