過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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10:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:47:41.38 ID:MAqM1HVe0
 打ち合わせが終わったのは、もう日が落ちきった頃です。

 蘭子ちゃんに合わせる顔がありません。

 連絡もなしに何時間も待たせて、きっと怒っています。
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11:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:48:41.31 ID:MAqM1HVe0
「幻滅、しましたか」

「はい?」

「モデルの佐久間まゆは、庭付きの豪邸で、家族と優雅に暮らす、完璧な子みたいですから」
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12:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:49:54.37 ID:MAqM1HVe0
 家を出たまゆに、外で待っていた彼が、全てを見透かすみたいに笑います。

「素敵な、家族じゃないですか」

「はい……」
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13:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:50:52.86 ID:MAqM1HVe0
 学校が夏休みに入って、間もない頃。

 佐久間まゆがモデルからアイドルに転向すると、大々的に報じられました。

 取材の依頼が次々と舞い込み、先物買いみたいな仕事がいくつも飛んできて。
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14:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:51:39.67 ID:MAqM1HVe0
「闇に飲まれよ!」

 扉が勢いよく開いて、花束を抱えた蘭子ちゃんが飛び込んできます。

 呆然とするまゆの胸に、色彩豊かな花束が押しつけられて。
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15:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:52:13.70 ID:MAqM1HVe0
 ディレクターは、約束通り、イベントをスポンサードし、資金を回してくれたみたいです。

 会場の規模が拡大し、取材の数も桁違いに増えるそうです。

 大勢の人がまゆたちを見に来てくれる、そのことが純粋に嬉しい。
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16:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:53:25.81 ID:MAqM1HVe0
 イベント当日、開始まで随分時間があるのに、会場周辺は大混雑していました。

 ディレクターの車で店舗前まで乗りつけると、何やら騒がしいです。

 警備の人と、押し問答をしている人たちがいて。
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17:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:54:36.96 ID:MAqM1HVe0
 まゆに背を向け、ディレクターが去っていきます。

 取り残されたまゆは、膝を抱えてきつく目を閉じました。

 それでも、外では、まゆたちのライブを待つファンの声が、止むことなく聞こえていて。
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18:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:55:51.80 ID:MAqM1HVe0
「まゆ姉ちゃんーッ!」

 たくさんの歓声に混じって聞こえた、確かな声。

「お姉ちゃん、頑張れーッ!」
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19:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:57:04.80 ID:MAqM1HVe0
 ライブを終えて、楽屋に戻ったまゆを、ディレクターが待ち受けていて。

「ディレクター、まゆはプロダクションを辞めます。最後まで、身勝手で、ごめんなさい」

 殴られることも、覚悟していました。
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