過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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◆tK49UmHkqg
[sage]
2013/09/15(日) 02:36:33.79 ID:rUu3+dw5o
それから、一週間は休まず訓練が続いた。この営舎へやってきて十日目。
コロニー内での基礎訓練が終わり、次回からは宇宙空間に出ての実戦訓練に入る。その前に十分に英気を養いたまえ、という勲章の将校の言葉で、今日は学徒兵全員に休暇が付与された。
休暇、と言ったって、この訓練のためのコロニーに娯楽施設なんてありはしない。もちろん、軍の保養施設なんてのもあるにはあるが、そこは、チンピラ紛いの若手兵士や飲んだくれた中年ダメ兵士のたまり場になっていて、俺たち学徒兵が行けば、絡まれるのは目に見えていた。
せっかく頂戴した休暇だ。連日の訓練でも大した疲労感はなかったが、こういう時は、休むに限る。
俺はベッドに横になって、研究所から持ち出していたポケットコンピューターの画面を触っていた。通信が出来ない機種だが、それは大きな問題ではない。ここには、研究所で過ごした日々の写真が残っている。
2、300枚はあるだろうか。俺の、これまでの人生のほとんどが、ここに収まっている。良しととるか、悲しいととるかは人それぞれだろうが、少なくとも戦争が始まるまでは、あの研究所での生活も悪くはなかったと、俺は思っている。友達もたくさんできたし、現場にいた研究員のほとんどは優しくて、親切な人たちだった。
どたどたと足音が聞こえてきたと思ったら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「お、おい、アレックス!ケンカだ、ケンカ!」
エリックが息を切らせてそう言ってくる。
「ケンカ?誰と、誰が、だ?」
「第一小隊のオスカーと、第四小隊のカイルだ!すげーことになりそうだぞ!」
エリックは目をらんらんと輝かせてそんなことを言ってくる。俺はPDAをポケットに突っ込んでベッドを降りた。巻き込まれてんのが本当にそのオスカーだとしたら、一応止めておかなきゃならない。あいつはウリエラの隊の人間だ。騒ぎがあいつに飛び火しないとも限らないし、な。
エリックの先導で食堂に駆け込んでみると、そこには睨み合ったまま微動だにしない、オスカーとカイルの姿があった。
そばに、ウリエラが居たので近づいて行く。
「おい、何があったんだ?」
「いやぁ、それが…」
ウリエラはモゴモゴと言いにくそうに言葉を濁すばかりか、もじもじと体をくねらせ始める。なにやってんだ、こいつ?
「あー、あんた、確かアレックス、って言ったっけ?」
そう声が掛かったのでウリエラの向こうに居た女の学徒兵を見やる。
「あぁ、そうだけど」
「良かった、間違えちゃってたらどうしようかと。あたしは、ウリエラと同じ部屋のキリ・グルンデンっていうんだ。あんた、ウリエラの同郷なんだよな?」
「だからどうした?」
「あぁ、いや、それならあんたもあれに参加しておいた方が良いんじゃないか?」
キリはそう言って睨み合っている二人を顎でしゃくる。
「ちょ、ちょっと!キリ!アレックスは違うんだって、そう言うんじゃないんだって!」
キリの言葉を聞いたウリエラが真っ赤になって何かを否定している。何のことか意味が分からないが…何を言ってるんだ、こいつらは?どういうことなんだ、と聞いてやりたくて反対側に居たエリックの顔を見る。するとエリックはニタニタと変な笑い顔で
「どっちがウリエラに告白するかでモテてるらしい」
と言って、野次を飛ばしだす。
はぁ、なるほど、そう言うことか。ウリエルのことは、まぁ、とりあえず置いておくとしても…これは、止めないとまずいだろうな。
「カイル!やっちまえ!」
「ちょ、やめなよー」
「オスカー、構うな!叩きのめせ!」
「いけいけ!どっちも頑張れ!かっこいいぞー!」
まったく、野次ってる場合じゃないだろうに…と、周りにいる連中を見渡して、俺は思わず吹き出した。
「ちょっと!野次ってないで止めてくださいよ、中尉!」
学徒兵に混じって、イレーナ中尉が野次を飛ばしていたのだ。
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