過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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◆tK49UmHkqg
[sage]
2013/09/15(日) 02:40:21.52 ID:rUu3+dw5o
俺はマシンガンの照準を合わせた。引き金に指を掛けた瞬間、連邦機が右へ逸れて行くイメージが脳裏に沸く。ほとんど無意識に、俺は照準を右にズラしていた。引き金を引いて伸びて行った曳光弾に連邦機が重なって弾ける。当てた!
<アレク、もう一機をお願い!>
中尉の声がした。とっさに、モニター上で別の一機を探す。その刹那、今命中させた連邦機にザクが急接近して、ヒートホークで機体を切り裂いた。あれは、中尉の機体…!
不意に頭上から嫌な気配がした。
「エリック!左へ回避しろ!」
俺はそう怒鳴りながら自機のバーニアを全開にして機体を回避させる。それと同時に、スラスターで姿勢を変えて上方を向いた。モニターにマシンガンを構えた連邦機が写る。
―――喰らえっ!
俺は再び、引き金を引いた。弾が連邦機のボディをめくり上げ、ちょうど鳩尾辺りに直撃弾があって動かなくなった。
「一機、撃墜!」
<了解、アレク!>
<隊長!>
俺と中尉の無線に、そう叫ぶ声が割って入った。ウリエラの声だ!
俺は視線を、隊長達の方へと走らせた。そこには、連邦機二機に密着して挟まれたリックドムの姿があった。ドムのボディからは、ピンク色の光の筋が漏れている。ビームサーベル…!部隊長、まさか…!
ドムは、それでも動いていた。握っていたマシンガンを正面に居た連邦機に押し付けて発砲する。まるで粘土が削れていくように、連邦機のがバラバラになっていく。背後に一度っていた連邦機が動いて、ドムの体をサーベルで引き裂いた。
<あぁ、ちきしょう…!>
部隊長がうめく声が聞こえたと思ったら、ドムは眩い閃光を放って、爆発した。
<隊長!!!!>
中尉の叫ぶ声が聞こえる。まさか…部隊長が、やられた…?!
<ウリエラ!>
次いで、オスカーの声。
別の方に視線を向けると、ウリエラ機に向かって、連邦機が突進していた。
「ウリエラ!回避だ!」
俺は思わず叫んだ。ウリエラ機まではまだ距離がある。マシンガンも届かない…くそ、くそ!!!目一杯にペダルを踏み込んで加速するが、次の瞬間、ウリエラ機の陰から、別のザクが飛び出してきて、連邦機と正面衝突した。
<オ、オスカー!>
<逃げろ、ウリエラ…!>
距離が詰まった…衝突で、連邦機はコントロールを失いかけている…やれる…!俺は引き金に指を掛けた。だが、次の瞬間、まったく別の角度から、もう一機、連邦機が現れて、オスカー機に組み付いた。いや…組み付いたんじゃない…!オスカー機からは、部隊長の機体から見えていたのと同じ、ピンク色の光の筋が見えた。
<ああっ…あぁぁぁぁぁ
オスカー機が、爆発した。連邦機は2機とも、軌道を変えて遠ざかっていく。
<オスカー!>
ウリエラの叫び声がする。俺は、やっとのことでウリエラ機のそばまでたどり着いた。しかし、敵が見えない…どこだ…!?どこからくる!?もはや、研究所で訓練した感覚など、これっぽっちも働いていない。胸の奥から込み上げてくる切迫感が、俺の胸を締め上げる。
<…こちら、バッハ中尉…。敵の撤退を確認…>
不意に中尉の声が聞こえた。撤退、って言ったのか、今?あいつら、逃げてったのか…?
<こちら、教導艦隊。こちらの光学測量でも撤退する敵機を捉えた。バッハ中尉、損害をしらせよ>
俺は、爆発して消えた、部隊長のドムと、オスカーのザクの破片をただただ、眺めていた。あの二人に、何があったんだ…?どこへ、行っちまったっていうんだ…?なあ、おい…部隊長…オスカー…どこへ、どこ行ったんだよ…?
<はっ…。敵量産機、改良タイプを3機撃墜。我が方は…クレイグ・ハック少佐機、オスカー・エルヴィン伍長機、撃墜。両名とも、戦死しました…>
呆然とするしかない、俺の耳に、中尉の、そんな声が聞こえてきた。
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