過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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48: ◆tK49UmHkqg[saga]
2013/10/05(土) 16:29:48.46 ID:1LkoXoN30

 <各機、警戒を怠らないで!管制室、ビーム砲の再度の発射を要請!>

<了解。同じ軌道で発射する。カウント、3、2、1、発射!>

再びビームが発射され、煙の雲の向こう側で再び大規模な爆発が起こった。

 ま、まだ来るか?それとも、MSの突撃が来るのか…

<こ、こちら第3小隊!敵MSが爆煙を突っ切ってきた!>

<第3小隊、迎撃急げ!>

<こっちにも来るわよ!火器管制を再チェック!照準準備!>

第3小隊と管制室の会話を縫って、中尉の声が聞こえた。俺はその声にハッとして、火器管制をチェックしてレバーの引き金に指をかける。

煙からなにかが突き抜けてきた。赤いボディに白い四肢!連邦の量産機!

<き、来た!>

エリックの声がした。あいつ、焦ってヘマをやらかすなよ…!

<掃射!>

中尉の号令で、第1小隊とキリ達、第6小隊がいっせいに射撃を始めた。それと同時に背後の要塞からも、対空兵器が撃ちあがってくる。

 俺たちの放った機銃弾と、無数のビーム砲、ミサイルによって、連邦機が次々と爆発し、弾け飛んでいく。

<や、やった!俺の弾で、1機撃墜!>

「浮かれるな!まだ来るぞ、エリック!」

嬉々として叫んだエリックにそう釘をさしてやる。油断は、命取りだ…この気配…!第3波か!?

「第3波警戒!来るぞ!」

俺も無線にそう叫ぶ。今度突っ込んできたのは、さきほどと同じ量産型のMSとあのキャノン付きのポッドだ。あのキャノンは、厄介だぞ…!

<敵の砲撃に気をつけて!今度のは、撃ってくるわよ!>

<こ、こちら第8小隊!トビーがキャノンの直撃を受けた!>

くそ、やっぱりか!いくらあのポッドに機動性がないとしたって、こっちはそれと大して変わらない程度にしかMSを動かせない連中もいる。頼む、みんな…被害が出ないようにしてくれよ…!

<あわてないで!編隊を乱さずに撃ち続けて!敵はただつっこんでくるだけ!弾幕を張れば落とせるわ!>

中尉の言葉どおり、敵はなにも考えてないバカなのか、勇敢なのか、次々と煙を突っ切って突っ込んでくるものの、ほとんどがこちらの対空砲とマシンガンの餌食になっている。

くそ、お前らも、異常だろ!?いったいなにを考えてるんだ…!

俺は頭の中に響き渡る悲鳴に耳をふさぎながら、なおも引き金を引く。目の前で次々と爆発が起こって、さらに悲鳴が聞こえる…くそ、くそ!くそ!!やめろよ、もう、もう来るなよ!!!

 俺の叫びは、敵であるやつらに届くはずもなかった。次々と爆煙を突破してきた敵のMS部隊は、半数以上が突破した瞬間にこちらの攻撃で散っていく。
残った機体も、俺たちの防衛線を無視して要塞に飛び掛っては、直掩のMS部隊や対空砲に撃ち落されていた。

 どれくらい時間が経ったか、敵の突撃がやんだ。俺は、いつの間にか呼吸を荒げて、ノーマルスーツのヘルメットのバイザーをあけていた。

<各隊、現在までの損害、消耗率の報告をお願いします>

中尉の、冷たいほどに落ち着いた声が聞こえた。

<こちら、第2小隊。機体損害なし。ただし、残弾僅かのため、帰投して再出撃を必要とする>

<こちら、第3、第5小隊混成班。第3小隊の1機が被弾、すでに要塞へ帰還させました。こちらも残弾に余裕はない>

<第7小隊だ。同班の弟9小隊は、隊長機、2番機が撃墜された。第9小隊の3番機はこちらで引き取っている。こっちは機体の消耗が激しい。補修作業のための帰投を要請したい>

次々と他の小隊から報告が入ってくる。大きな損害が出ているわけではないが…それでも、確実に3人は死んでいる…想像はしていたが…これが、戦争なんだ、な…。

 <各隊へ、了解しました。管制室、こちら第1学徒隊。現在、敵の攻撃は小康状態。現在までに3機の被撃墜あり。また、機体への損傷、弾薬数の不足から、補給修繕のための帰投を要請します>

<こちら管制室。了解した。後方の防衛部隊を前進させる。入れ替わりに、貴隊は帰還し、武器弾薬を再装てんせよ>

管制室からの声が聞こえた。それを聞いて、俺は安堵せずにはいられなかった。とりあえず、ひとまず、戦闘は終わったんだな…

少なくとも、敵の攻撃の前面にさらされている場所からは離れられる。

攻撃対象になっているだろう、あの要塞の中に戻るというのに、俺は全身から力が抜けてしまうほどの脱力感に襲われていた。
 


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