過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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529: ◆D4iYS1MqzQ[sagesaga]
2014/11/09(日) 23:42:47.22 ID:rEGEV1Wgo



雨は変わらず降り続いていた。薄暗い結界の中に、底なしの闇が広がっていた。
取り込まれたわたしたちは、傘を手にしたまま、しばらく立ち往生していた。

マミ「ここは引きましょう、鹿目さん」

マミさんは奇妙な早口で言った。キュゥべえはわたしの肩に飛び移って来た。

どちらからともなく、わたしたちは手をつないで、結界の中を進んだ。
マミさんには出口が分かっているみたいで、迷いなく導いてくれる。
土砂降りの雨の背景は赤々としていた。空が渦巻いている。

まどか「――怖いんですか?」

モノクロの地面から目をそらし、わたしは前を行くマミさんに尋ねた。返事は無かった。
水溜まりに足を入れても水は跳ねない。前も後ろも闇の中。

本当に進んでいるのか――……。

鮮明に聞こえてくるのは、私たちの足音だけ。くぐもった雨音の中。

本当に進んでいるの――……。

マミ「……先輩失格だよね」

沈黙を破ったのはマミさん。
私の手を握る力が強まる。マミさんはうつむいていた。

マミ「もう私、魔法少女を名乗れないわ。こんな臆病な魔法少女っていないもの……」
マミ「先輩失格……魔法少女失格……――」

感じる。マミさんは震えていた。

マミ「――人間失格だわ」

っあ!!

マミさんの握力が強くなり、わたしは思わず声を上げた。

マミ「あ、ごめんなさい」

まどか「ううん……平気ですっ……」

マミ「……」

まどか「……」

キリキリと張りつめて、今にもぶちっ、と切れそうな糸が一本、伸びていた。
刺すような沈黙が、果てしない結界に、無限に続くように思えた。

そして

……まただ。マミさん、また震えてる。


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