過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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◆D4iYS1MqzQ
[sagesaga]
2015/02/06(金) 18:02:05.72 ID:WJwczXL3o
*
向かい合う二人。
同じ顔といえばまさしく同じ顔。同じ服と言えば同じ服。同じ体型に同じ姿勢。同じ声。
しかしその身に纏う雰囲気だけは、完全なる対称だった。
「――――――この、死に損ないの魔法少女がッ!」
「武器を封じられておきながら、よくもここまで来られたものね!」
怒り狂うニセモノ。それを憐れむ本物。
マミは、驚くべき精巧さを持つ自らのコピーに対して、驚くどころか初対面の反応も見せなかった。
一目見た瞬間から、これは閉鎖された室内に残された最後の遺物だと確信していた。ならば破壊するのみ。
使い魔はそれと意図せずに、マミの心の中にいる、弱く憶病な、ゆえに凶暴な、もう一人のマミを体現していた。
高い再現力が、この相対を実現させてしまっていた。マミには詳しい理論は分からなくても、対処法は分かった。
マミ「……幼いわね」
逆光の中の影がわずかに顎を下げる。四肢を縛られた使い魔を見下ろす。
使い魔はいまだに、なぜ、なぜ、を繰り返す。対して、バキッという、靴がガラス片を踏み砕く音。
マミ「物真似にしては上出来だけど、どうせならもっと徹底的にやりなさい」
それは使い魔が美しいと感じた魔法少女の姿ではなかった。
前髪のベールの隙間から見下ろす視線には、憐れみや悲しみの色を越えた、それ以上に強い、容赦のなさがあった。
使い魔を縛るリボンを絡めた両手を胸の前でクロスさせて、冷徹な敵として立ちふさがる。それはある意味優しさだった。
なぜなら、魔女にしろ使い魔にしろ、殺されない方がよほど可哀想だから。
これは新しい正義。行為としては同じでも、その理念はまったく別の方向だった。
しかし、やはり正義。マミは、今も変わらず正義の魔法少女として立っていた。
使い魔は、これもまた形は違えど、美しい魔法少女だと感じていた。ゆえに欲した。
しかし、その身を戒めるリボンの端を握りしめるマミが、口を開く。最期だった。
マミ「銃が使えないから、何だというの?」
マミ「勝手に他人のことを分かったような口聞いて」
マミ「あなたもあなたのご主人様も、何にも分かってないわね」
マミ「――――私の本質は、銃なんかじゃないわっ!!」
使い魔が何を言う暇もなかった。
言葉の終わりと同時に、使い魔を戒めていたリボンが煌々と光り輝き、収縮する。
クロスした腕を一息に引いて、リボンが千切れる。余りのリボンが使い魔を繭のように覆う。
すぐに光量オーバー、室内を真っ白に塗りつぶして。
最後に、内側からくぐもった爆発音が鈍く響いた。
トンネル内の反響のように長く間延びして響いて、それから徐々に、静寂が戻ってくる。
思い出したようにリボンが解けていくと、そこには何も残っていなかった。
魔法少女の巴マミが、魔女の使い魔を退治した。当たり前のことをしたまでなのだ。
集中が切れるとリボンが溶けるように消えた。
マミは改めて滅茶苦茶に荒らされた部屋を見渡して、深くため息を吐いた。
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