過去ログ - 【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
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22:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/17(火) 18:49:14.95 ID:xpTdZLia0
 翌日の私は、授業を、ほとんど上の空で聞き過ごしていました。

 取り返しのつかないことをしてしまった、という後悔だけがあります。

 放課後になり、私は、教室に居残っていた人たちに、恥を忍んで声を掛けます。

 駅前広場に、一緒に来てくれませんかと。

 ひとりでも多くの観客を連れて行くことが、せめてもの罪滅ぼしみたいに思えたんです。

 だけど、誰もが、用事があるからと言って私を拒絶しました。

 ついに誰もいなくなった教室の中で、私はひとり自嘲します。

 他の人たちを拒絶してきた私が、何をいまさらって、自分でも思います。

 ぼんやりしたまま、吸い寄せられるように駅前広場に着いた私を、櫻井桃華が出迎えます。

 昨日、あんなことがあったというのに、その輝きが褪せることはありません。

「きれい……」

 吐息みたいにこぼれます。

 サンタの衣装で着飾り、自信満々で歌う櫻井桃華は、掛け値なしに美しかった。

 色眼鏡を外した今、私の口からは、ただ感嘆のつぶやきだけが漏れ出ます。

 櫻井桃華が身にまとう輝きは、まぶしくて、私の目には、少し、痛い。

 私の人生は何だったんだろうって、今また改めて思わされました。

 物事を、斜に構えて見て。

 綺麗なものを、素直に綺麗だと言うことすら、できなくなって。

 たくさんの人を、見下し、傷つけました。

 私は、馬鹿です。

 私こそが、馬鹿なんです。

 歌う櫻井桃華が、今は、ひどく遠い存在に思えます。

 手を伸ばしたって、永遠に届くことがない星々のよう。

 この気持ちが。

 この憧れが。

 人を魅了してやまない、アイドルという存在がもたらす奇跡なのかもしれないと。

 今になって、ようやく気づきました。

 その瞬間、私は、勝負に負けたんです。


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