過去ログ - 【モバマス】「橘ありすの電脳世界大戦」
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3:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/17(火) 18:35:52.93 ID:xpTdZLia0
 放課後になっても雪は降り続けています。

 私はさっさと荷物をまとめると、口元を隠すようにマフラーを巻き、手袋をはめました。

 クラスメイトたちの多くは、仲の良いグループで集まって、居残りをするようでした。

 私が教室の出口に向かっていると、間近で「可愛い!」という声が上がり、驚いて足を止めます。

 近くにいた女子グループの子たちが、机の上に大判の本を広げていました。

 少しだけ、気になって、覗き込んでしまったのが間違いでした。

 私に気づいた一人の子が、振り返り、目を輝かせていました。

「橘さんも、まゆちゃんのこと知ってる? すっごく、可愛いよねえ」

 彼女たちは、佐久間まゆというアイドルの写真集を広げていました。

「私、アイドルとか、興味ありませんから」

 返事も待たずに教室を出て、足早に下駄箱へと向かいました。

 外は寒く、吐く息がたちまち白く立ちのぼっていきます。

 私は手をこすり合わせ、歩き出します。

 校庭の地面は、降り続ける雪によって真っ白く覆われてしまっていました。

 正門と逆の方向に向かう、私の行く道に人の姿はありません。

 振り返ると、閉められた校舎の窓には、たくさんの人影が映っています。

 毎日通っているのに、私の居場所とはかけ離れたところであるように思えてしまいます。

 直視できなくなった私は、校舎に背を向け、校庭の隅っこに建つウサギ小屋を目指します。

 私が来たことに気づくと、三匹のウサギたちは食事の時間かと色めき立ちます。

 金網一枚を隔てて屈み込んだ私は、口元部分のマフラーを下げました。


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