443:土蜘蛛[saga]
2014/03/02(日) 22:46:23.84 ID:40koM3tX0
ミサカ10031号は、狭く暗い路地裏を靴を脱ぎ捨てて走る。
片方の靴は脱げていたし、何より早く走るためにはローファーは無い方が良い。
「おいおい、愉快にケツ振りやがって。誘ってんですかァ?」
後方から聞こえて来る白濁した声には、銃弾を持って応える。
最低限まで押さえられた銃声と共に、銃弾が放たれる。
寸分の違い無く後方の少年を捉えた銃弾は、彼に当たった瞬間に軌道を変え、灰色の壁で火花を散らす。
彼は無傷で、彼女をあざ笑うかのようにゆっくりと歩いて来る。
「ほらほらほら、逃げねェと捕まっちまうぞォ」
「くっ…」
逃げるべく走り出す。
直後、甲高い音が後方から聞こえた。まるで、ガラス製の風鈴を勢いよく鳴らしたような。
振り返ってみると、ビール瓶がミサイルのように迫ってきている。
「――――ッ!!」
声にならない叫びを上げ、転がり込むように角を左へ曲がる。
そこもまた、暗い路地。
「はっはァー! 楽しいなァ。おい!」
白狂したような嗤い声を聞きながら、ミサカ10031号は走った。
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