629: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:05:35.14 ID:XWa9l6uJ0
学者「……貴様が何かを願ったときか」
竜『うん。肉を焼きたければ炎の吐息を、動かないで欲しいと思えば石化の視線を、誰にもこの姿を見られたくなければ透明な体を得られたようにさ。俺がたった1人の女の子を救いたいと心から願ったなら、今この瞬間から俺の血には不死の力が宿るんじゃないかな』
学者「…なんて、なんて都合のいい話なんだ。そんな夢物語に私の娘の命を託せと…?」
630: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:06:06.06 ID:XWa9l6uJ0
―少女の病室―
学者「…………」ガチャ
少女「…………」ヒューヒュー
631: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:06:37.54 ID:XWa9l6uJ0
学者「(メビウスから貰った血を体に振りかけたが……)」
少女「…………」
学者「(駄目か……?)」
632: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:07:12.08 ID:XWa9l6uJ0
学者「……………………あきらめるな学者」
学者「(あいつが少女を救いたいと言ったのだ、ならこの血には少女を救う力が宿っているはずなのだ……それだけは間違いない)」
学者「(なら……間違っているのはなんだ?)」
633: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:07:45.67 ID:XWa9l6uJ0
学者「(そもそも血を浴びることによって得る不死身はあくまで皮膚が硬質化するものだったはず…外傷には効果があっても病気では意味がないのか? いやだが…)」ソッ
学者「(これは血がかかった部分もまったく固くなっていない。何故だ…?)」
学者「…考えろ、思考を止めるな、きっとその先に答えがあるはずだ…」
634: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:08:49.66 ID:XWa9l6uJ0
学者「(……待てよ、確か英雄が不死身になるあの話には別のパターンも存在していた。その方法は…竜の心臓を喰らうこと…?)」
学者「(馬鹿な、子を助けるために私に友を殺せというのか!? だ、だがあいつは死んでもどうせ生き返るではないか……ならば…1度くらい…)」
学者「…………」
635: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:09:24.82 ID:XWa9l6uJ0
学者「…………」ツカツカ
学者「…ふんっ!」ゴンッ
学者「次同じことを考えたら本気で頭かち割るぞ学者」ダラダラ
636: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:10:05.09 ID:XWa9l6uJ0
学者「(だが実際どうなのだろうか。メビウスの場合不死身の力が宿るのは血か? 心臓か?)」
学者「(…血を浴びせる、若しくは心臓を喰らう……)」
学者「(このどちらか……いや……もしかして)」
637: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:10:38.43 ID:XWa9l6uJ0
学者「(この血には不死の力が込められている、やはりこれだけは間違いない。だって私の愛する彼がそう言ったのだから。思えば最初からその点において疑う必要などなかったはずなのだ。だが先ほどの私の感覚を信じるなら心臓を喰らう話も無関係ではないはずなのだ。ならば、導き出される結論は…)」
学者「…………わかった、間違っていたのは私の行動だ」
638: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:11:19.68 ID:XWa9l6uJ0
学者「(恐らく混在しているのだ、2つの似て非なる話が。つまり血を浴びせる話と、心臓を喰う話、これがメビウスという個体において1つの話に纏め上げられている。だから私が取るべき行動は)」
学者「この血を浴びせるのではなく喰わせればいい」
学者「もうこれしかない…少女、呼吸器外すぞ」
639: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/05/11(日) 19:11:59.79 ID:XWa9l6uJ0
少女「……………………けほっ」
学者「…少、女?」
少女「ごほごほっ、げほっ…………ぁー、あ、…おか…さん?」
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