791: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/06/22(日) 20:22:15.66 ID:yX8CGCHs0
「…………」
側近「何を悩んでいるの? うーん、まず君達は愛する人に先立たれることは耐えられないとかそんな腑抜けた事を抜かす人達じゃないよね、死別の悲しみなんて実際は"慣れる"だろうしね。他には限りある命だから人間は頑張れるっていうのもあるけど、そんなの期限を誰かに設定してもらわなければ動けない怠惰な人間の言い分でしかないと思うんだよね、君はどう思う?」
「…その点は、私も概ね賛成です」
側近「なら君が逡巡している理由はなんだろう。あれかな、人類が滅びたらとか、この星が寿命を迎えたら自分はどうなるのかとか考えているのかな?」
「…そ、そうですよ。そうなったらそこに残るのは永遠の孤独と終わることのない苦痛だけですよ」
側近「上を見てみなよ。何がある?」
「…天井と蛍光灯が見えます」
「違う、もっともっと上、そこには何が見える?」
「空……今は夜空ですか?」
側近「そうだね、今日は天気がいいから多くの星が見えるだろう。遠い遠い未来に私達が住まうことになるかもしれない希望の星達だ」
「て、"テラフォーミング"?」
側近「例え人類と地球が滅びても、滅びることのない我々が新天地を目指し新たな人類を創りだせばいい。ほら、何も問題はない」
「そんなの、余りに非現実的すぎる」
側近「それなら目の前にあるこの血液をどう説明する、これはどう考えても非現実的ものの象徴だろう? 不老不死が"あり"ならテラフォーミングくらいわけないと思うけどね」
「…………」
側近「科学者の1人である私が言うのも可笑しな話だがきっとこの世界は物理法則なんてものだけに支配されていないんだ、あのバケモノの存在がその証拠だ。バケモノを解析出来ればきっと私達は既存の技術とは比べ物にならない、そう、ある種"魔法"と言えるものを手にすることが出来ると思う」
側近「その魔法は我々が科学の限界によりあきらめていたあらゆる奇跡を可能にするかもしれない。そう考えるとほら、死ぬなんて余りにも勿体ないと思わないかい?」
「魔法……」
側近「まあ私の言い分はこのぐらいだ。後は君が自分で決断するしかない」
「…………」
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