過去ログ - 日向「強くてニューゲーム」
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973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:18:08.64 ID:e6Uk7Fse0
大きく頷いた。
サッカーの試合中によく行っていたアイコンタクトでの意思疎通が、まさかこんな場面で役に立つとは思わなかった。

裕一郎と古都美は圭たちの後ろを並んで歩いているのだが、2人の間には会話らしい会話はない。
古都美は同じグループの荻野千世(女子三番)・佐伯華那(女子七番)・鷹城雪美(女子九番)以外と会話を交わすところをほとんど見たことがない位に内気だし、裕一郎は意外にも女子とは目も合わせられないくらいに恥ずかしがり屋なので、それは仕方がないことだが。
以下略



974:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:18:41.61 ID:e6Uk7Fse0
3番目に名前を呼ばれた如月梨杏(女子四番)も同意見だ。
どうして自分がこんな連中と行動を共にしなければならないのか、理解に苦しむ。

そもそも梨杏は3年A組に対して思い入れもなければ親しくする者もいない。
いや、親しくする価値のある人間なんて、このクラスにはほとんどいないのだ。
以下略



975:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:19:23.25 ID:e6Uk7Fse0
ライド(担当教官)にプログラムに対する異議を申し立てて射殺された田中顕昌(男子十一番)――余計なことを言えばああなる可能性はこの国でなら十分あり得る話だというのに、その考えに至らなかった憐れで愚かな男。
あまり目立たない地味な印象の顕昌が、派手な恒祐と親しいのは意外だった。

「…ああなることなんて目に見えてたのに。
 それがわからずに行動した人を悼んで泣かれても迷惑なのよ」
以下略



976:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:19:49.28 ID:e6Uk7Fse0
恒祐は起き上がりながら、自分を引っ張ったもう1人のチームメンバーである林崎洋海(男子二十番)を見上げた。
細身だがクラスで最も背の高い洋海は、手にしていた金属バットを振り下ろした。
恒祐が身を起こすために地面に付けていた右手のすぐ横にそれは振り下ろされ、小石に当たったらしくカァンという高音が響いた。
恒祐はぎこちなく首を動かして金属バットが振り下ろされた先を見、口許をわなわなと震わせていた。

以下略



977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:20:23.50 ID:e6Uk7Fse0
歯噛みする梨杏を見、かれんはふんっと鼻で笑った。
自分が優位に立っていることを確信している目が、非常に不快だ。

「せいぜい、あたしたちに殺されないように気を付けるのね、如月さん。
 ま、別に今すぐどうこうしようってことはないから安心してよ。
以下略



978:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:20:51.22 ID:e6Uk7Fse0
2番目に出発する班として教室を追い出されて廊下を歩いている時に、鷹城雪美(女子九番)はプログラムに参加させられ今から戦場へと出なければならないという状況とは思えない程に落ち着いた声で、そう言った。

もちろんそれはその後ろを歩いていた松栄錬(男子九番)も同意見だった。
容姿は地味だし場を明るくできるような性格でもないし、運動はからっきし駄目だし、だからといって勉強ができるかと言われるとどんなに頑張っても中の上程度にしかできないし――たまに生きていて申し訳ない気分にさえなってしまう錬だが、だからといって死にたいと思ったことは一度もないし、今ももちろん死にたくない。
地道に努力を続ければ行く行くは祖父が現在会長を務めている鉄鋼会社に就職して、将来的にはそれなりに上の地位に就くだろう。
以下略



979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:21:41.96 ID:e6Uk7Fse0
雪美と賢吾の間にどのような関係があるのかはわからない――親同士が古くからの付き合いだという関係で、お互い話をする関係だ、ということしか聞いていない――が、雪美と賢吾の力関係ははっきりとわかる。
賢吾は、雪美には意見できないのだ。

「死にたくないなら、他の班の全員に死んでもらわないといけないでしょう?
 ねえ季莉ちゃん…あたし、何か、間違ってるかしら?」
以下略



980:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:22:32.97 ID:e6Uk7Fse0
雪美が指差した先にいるのは、悠希の亡骸を抱えて泣きじゃくっている、クラスで2番目に小柄な女の子、山本真子(女子十九番)。
他の3人が死してなお生きているということは、真子がこの班のリーダーらしい。
真子を見、手に握られた金槌に視線を移し――錬は呻き声を上げた。
つまり、雪美はこう言ったのだ、「山本さんを、金槌で殴り殺してちょうだい」と。

以下略



981:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:24:19.13 ID:e6Uk7Fse0
もちろん殺人なんてしたくない、けれど、拒否すれば雪美はきっと引き金を絞る――それはほんの一滴の情けもなく、あっさりと。
そんなこと、絶対に、させてたまるか。

僕にとって、季莉の命は、何よりも重いんだ…!!

以下略



982:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:24:50.55 ID:e6Uk7Fse0
突如前方に現れた、S


983:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:25:17.23 ID:e6Uk7Fse0
大人しい目立たない女の子だと思っていた雪美が垣間見せた裏の顔にも、それに最初から気付き(雪美の話しぶりから察するに、恐らく華那以外は気付いていなかったのだろう)いつも警戒していた華那にも驚かされた。
勉強だけでなく、華那は本当に頭が良く周りを見ているのだと実感させられた。

そんな華那を、ここで失うわけにはいかない。
プログラムだなんてとんでもないし、やりたくもないが、死にたくもない。
以下略



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