982:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:24:50.55 ID:e6Uk7Fse0
突如前方に現れた、S
983:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:25:17.23 ID:e6Uk7Fse0
大人しい目立たない女の子だと思っていた雪美が垣間見せた裏の顔にも、それに最初から気付き(雪美の話しぶりから察するに、恐らく華那以外は気付いていなかったのだろう)いつも警戒していた華那にも驚かされた。
勉強だけでなく、華那は本当に頭が良く周りを見ているのだと実感させられた。
そんな華那を、ここで失うわけにはいかない。
プログラムだなんてとんでもないし、やりたくもないが、死にたくもない。
984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:25:44.24 ID:e6Uk7Fse0
賢吾と季莉さえ撒くことができれば、運動能力の低い雪美と錬は問題ではない。
やればできるはずだ。
「逃がすか…ッ!!」
985:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:26:18.96 ID:e6Uk7Fse0
季莉の鎌が振り下ろされる刹那、悠希は真子を手離して振り返り、季莉の攻撃を受け止めようと手を伸ばしたがそれは叶わず、鎌の刃が悠希の首に突き刺さった。
鮮血を撒き散らし、悠希は倒れた。
親友の死を目の当たりにしたのは、田中顕昌(男子十一番)に続いて2人目だ。
「悠希…ッ!!」
986:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:27:19.27 ID:e6Uk7Fse0
文句の1つでも言ってやろうと思ったが、口を開いて出たのは血液と呼気だけだった。
その様子を見た雪美が、華那の頭を撫でた。
「可哀想に…痛いのに苦しいのに[ピーーー]ないなんて…
賢吾…華那ちゃんを、助けてあげてくれる?」
987:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:28:09.80 ID:e6Uk7Fse0
鷹城雪美(女子九番)は、少し大人しめで目立たないごくごく普通の女の子――と周りから見られるように生活してきた。
雪美の実家は少々という修飾語がとても似合わない程に特殊だ。
何を隠そう、雪美の家は、関東一円でその筋の者からは恐れられている極道“鷹城組”。
祖父が組長を務めており、雪美も家を出入りする祖父の部下たちからは“お嬢”と呼ばれ祭り上げられている。
988:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:28:46.18 ID:e6Uk7Fse0
しかし、華那だけは違った。
華那は初めて声を掛けたあの日以来、一度たりとも雪美に対して心を開いていない。
いつも一緒にいるように周りからは見えるだろうけれども、雪美と華那が2人きりになることは殆どなかったし(例えば2人組を作りなさい、と言われると、さり気なく華那は雪美を避けるのだ。もっとも、避けなくとも古都美が雪美にべったりなので、自然と雪美と古都美が組み、華那と千世が組むのが自然の流れになっていたのだけれど)、会話も交わしているのだけれど、華那の声には警戒心が見て取れた。
和を乱すことを良しとしない華那は抱く警戒心を華那なりに隠そうとしていたのだろうけれども、雪美は人の接し方には敏感なのでそれを感じることができたし、華那は華那で雪美が心の中に隠している黒く渦巻く感情を感じていたと思う。
989:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:29:11.94 ID:e6Uk7Fse0
「…探してくれてありがとうね。
でも、雪ちゃん、かなたちのこと襲ったよね…?
かなたちの…かなのこと、殺そうと思って探してたの…?」
思っていた以上に警戒されているようだ――雪美は一瞬ぴくりと眉間に皺を寄せたがすぐにそれを解き、ふるふると首を横に振った。
990:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:30:11.38 ID:e6Uk7Fse0
「ふふ…あっはは…っ」
雪美は口から洩れてしまう笑いを抑えることができない。
拍手を止めると、口許に手を添え、華那ににこりと笑みを向けた。
991:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:30:55.93 ID:e6Uk7Fse0
プログラム本部となっている小中学校から見て真東にあたるE=06エリアのほぼ中心には、御神島唯一の神社が存在し、そこに4人の男女がいた。
島の名前に“神”が入っているが、特別な神様を祭っているものなのかどうかは不明である(この島に昔から住んでいる人に聞けばわかるかもしれないが、生憎プログラムのために島民は全て追い出されてしまっているので聞きようがない)。
まあ、何を祭っていようが関係ない。
たとえ神がいようが何だろうが、現在ここは戦場なのだから。
992:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/04/14(月) 20:31:36.88 ID:e6Uk7Fse0
それは、1970年代に初めてテレビ放映されてから幾度も様々なシリーズが放映され、大東亜人ならその名を知らない者はいないであろう世代を超えた人気アニメ『機動戦士ガンニョム』シリーズで、登場人物たちが登場して宇宙で戦う人型機動兵器を模したプラモデル、通称・ガンプラ――卓球ラケットや広辞苑も大概だと思うが、信じられないことにこれが龍輝に支給された武器だ(武器でも何でもないが。そして卓球ラケットや大東亜広辞苑にもそれは言えることだが)。
華那と龍輝は同じ小学校の出身という縁もあってそれなりに親しいのだが、ガンプラの箱がデイパックから出てきた時の第一声が「とりあえず…組み立てとく?」だったのは、お気楽な性格の龍輝らしいと思い、いつもと変わらない様子に安心した。
帝東学院にはバスケットボールの一芸入試で入学を果たした龍輝は、当然バスケットボール部に所属しているのだが、その運動能力は群を抜いているためにバスケットボールに限らずあらゆるスポーツでエース級の活躍ができ、スポーツテストでは龍輝の右に出る者はいない。
まあ、地面に落ちたガンプラのパーツを探すために地面に這いつくばる様子からは、とても想像できないのだけれど。
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