5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/04(金) 12:01:08.91 ID:C20G8sY80
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「交換するですよ」
この言葉が気に入ったのか、住むべき家を持たない少女は事あるごとに色々なものを僕と交換した。
ボールペン・名刺入れ・飲み残しの缶ジュース・海岸で拾った貝殻・ネクタイ・遊園地のチケット・自宅の合鍵etc。
彼女はその人懐っこい性格のおかげで、事務所の皆ともすぐに打ち解けていた。
いずれは部下に担当を任せるつもりではあったが、そのままずるずると僕は彼女のそばを離れられずにいる。
もしかすると異国の地でたった独り頑張っている彼女を見捨てようとした事に、罪悪感を感じていたのかもしれない。
「おー……こんなに素敵なお洋服までいただけるのですか?
アイドルの衣装、たくさんの人に喜んでいただけるのでございますですか?
それは楽しみですー、ごほうびのアイスくらい楽しみですねー」
彼女は常にまず、僕へと大切なものを差し出した。特に食事の際は顕著である。
それが彼女の好物であったとしても、僕が口を付けるまで水色の瞳で見守り続けるのだ。
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