過去ログ - 勇者「パーティ組んで冒険とか今はしないのかあ」
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638:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/12(火) 22:34:09.93 ID:cFLa5SzBO


彼女の手だった。彼女は意識を取り戻していた。しかし、開いた瞳は濁っていて、どこを見ているのかすら判別がつかない。
そこで決心がついた。自身の能力を使う。彼女の身体の中へ意識を潜らせる。


失敗したら彼女が死ぬ。


彼女の血液やなんらかの器官。毒以外のものを吸収すれば、瀕死の状態の彼女は死ぬ。
その恐怖を振り払い、彼女の毒をすべて抜き取る――そうしようとした私へ、なにかが入ってくる。
今までにも経験がある。感情の奔流。だが、なぜ――彼女は生死をさまようほどの重症を負っているのに。
血が身体をかけめぐるように、私の中が彼女の感情で満たされていく。

私は理解した。彼女が私になにかを伝えようとしているのを。
意識を傾ける。感情の奔流から、彼女の言葉を探し出す。


(……私は、もう長くない……)


私は否定をしようとしたが、彼女が言葉で遮る。


(……この国は今なお、混乱してる。それもこれも私のせい。私が『あの男』の魂胆に気づけなかったから……)

(黙って……集中できないっ! 集中しないと……あなたが死んじゃう……だからっ!)

(いいの……私は罪人。死ななければいけない)

(うるさいっ! 勝手に死ぬとか言うな……! 勝手に思想を押し付けて……勝手に役目を押し付けて! 勝手に死ぬなんて、許さないっ…………!)

(ふふっ……あなたがそんなに感情的になるのは初めてよね?)




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