過去ログ - 高森藍子「離れていたって、届くように」
1- 20
14: ◆.FkqD6/oh.[saga]
2013/10/07(月) 23:04:49.64 ID:wXzZV/Aw0

「気がかりなこと、ですか」


「ええ。気がかりなこと、です」


にこりと笑うちひろさん。この人の笑顔が向けられると、不思議とすべて話してしまいそう。


ふふっ、これ以上は野暮ったいですね、とちひろさんは詮索をやめてくれました。


確かにこれ以上は、ぼろが出てしまいそうでした。


やっぱり、ちひろさんは知っているんでしょうか。


私と、彼とのことを。




あの日、またいつかと誓ってから。


心のなかに浮かぶのは、彼に会いたいという気持ち。


止めどなく流れる清流のように限りなく湧き上がって、なんだか苦しい思いになります。


清流は、いつしか色々なものを削りとって、巻き込んで、濁流に。


嫌なこと、失敗したこと、会えない思いなんかが合わさって、心のなかで洪水を起こします。


もう、何もかも全てが胸の奥に溢れてくるような気持ちを、止められなくて。


「……藍子ちゃん?大丈夫ですか?」


いえ、大丈夫です、それでは行ってきます、と口早にまくし立てて、事務所を出ます。


ちひろさんには、見えちゃったかな。


すっと、溢れた思いを拭きとって、レッスンスタジオへと向かいます。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
37Res/23.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice