過去ログ - 一夏「祈るがいい」
1- 20
109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:46:57.70 ID:GkrSYZZD0
その部屋は、普通で平凡、全くもって地味な部屋や必要最低限の物しか置かれていない部屋に比べると飛び抜けて奇妙奇天烈だった。
部屋一体を埋め尽くす機械の備品、鉄くずなど、恐らく発明品と思われるガラクタ、明らかに場違いな薬莢や分解されかけの武器やそのパーツ、金属の塊などがあって足の置き場が見つからない。そして、その中に混じって大量の機器に繋がれているケーブル達が所狭しと蹂躙し、巨大な要塞を形成していた。その難攻不落の巨大要塞向こう側には、分割された大量のモニターがあり、その前に置かれている机には一人の女性が俯いていた。
長く伸びた雲気のような色の髪は、普段の手入れを怠ったのかボサボサになっている。そして、空の色をそのままに染めたような鮮やかな青のワンピースにはエプロンと背中には大きなリボンが、頭に着けているカチューシャは何故か白ウサギのような耳がついている。
奇妙奇天烈な部屋の主は、部屋の状態以上におかしな格好をしていた。そのおかしな人物の名は、ISの生みの親『篠ノ之 束』そして、この部屋は彼女の秘密ラボである。

「いかないで…………」

ゆっくりと、何かを追うように手を伸ばした。

「待って!」

束は目覚めた。落ち着いて辺りを確認して、胸を撫で下ろす。そして、机に出来たヨダレの水たまりを見て複雑な顔をした。ハンカチを取り出して口を吹き、足元を掻き分け見つけた布らしきもので机を拭いた。
そう、彼女はついさっきまで眠っていたのだ。かの相対性理論で有名なアインシュタインはその脳を働かせるには十時間以上の睡眠を要したと言われている。だが、彼女自身はそれに習ったわけではない。ただ眠っていただけだった。
寝起きの顔は、まだ眠っていたいように見えず、どこか名残惜しい別れをしたようにも見えた。

Don't wanna be the one to your cherry, girl〜♪

「おっ!」

そんな奇妙奇天烈な部屋に、デジタル・ロックなアグレッシブビートが響く。
束は嬉しそうに、物で溢れかえる机を漁る。その間に色々な物が机から落ちていくが、特に気にする様子はなかった。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
199Res/216.84 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice