過去ログ - 一夏「祈るがいい」
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183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/08(日) 00:39:28.78 ID:uj9ooahQ0
いつまでもこうしてはいられない。こんな情けない姿をしていては、笑われてしまう。五年前に出会った少年に、自分の思い人、織斑一夏に。


彼は、小学校の時から明るく元気に振る舞い、誰にでも優しかった。自分をいじめてくる奴らを自分の代わりに殴り倒して怒られたり、下手な料理を作るのを手伝ってくれたり、風邪の看病だってしてくれた。そして、悪友の弾と三人で中学に入ってからは、剣道部に入部しながらも生活費の為にアルバイトをして、勉強もぬかりなくしていた。貴重な休みの日も、自分のわがままに付き合ってくれて、たまにしかつるめない弾と自分との三人組で、一緒に遊んでくれた。
彼は、そんな生活をしていては倒れてしまう、という自分たちの心配をよそに自分は千冬姉も守れるぐらい自分は強くなるんだ、と言って全く聞く耳を持たなかった。あまりに呆れるほど愚直で、決して奢らず、勇気を持って強くあり続けようとする彼に、いつしか自分は惚れていた。そして、三年前のある日に告白しようと決めて一夏を呼び出したが、土壇場で言い損ねてしまった。それを悔やんで腹をくくり次の日を迎えたが、一夏は何処にもいなかった。そこから、いくら時間が経とうと、いくら待とうと一向に彼は姿を現さなかった。
そこからは後悔ばかりの日々が続いた。なぜ、あの時自分は言えなかったのだろう、鈴は彼のような勇気が自分にも欲しかった。そして、一年の後に両親が離婚した。引き取られた母に聞いたが、理由を聞いてもかたくなに答えてはくれなかった。今まで喧嘩など全くしていなかった両親が、三人で仲良く食卓を囲っていたのに、突然疎遠になってしまうなど思ってもみなかった。父親はその日から行方知れず、どこで何をしているのかも分からなかった。


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