過去ログ - 晴海「秋月マキシの本を……、読まずに死ねるかぁ!!!」
1- 20
2: ◆o.umvroRL9by[saga]
2013/10/13(日) 22:31:31.30 ID:sUOUBjm8o

八月十日。
秋月マキシの新刊の発売日だったその日、俺は強盗の現場に居合わせた。
行き付けの寂れた喫茶店「清陽」でまっずいコーヒーを飲みながら買ったばかりのその本を読んでいた俺の前で、獣のような目の男が猟銃を手に店長のじいさんを脅迫し始めたのだ。
だが店長が言うことを聞こうとしないのでその男は俺たちを人質にしようとした。

そう、俺たち。
その場にはもう一人いた。
俺も強盗犯が怒鳴り付けるまで気づかなかった。
だが、いざ意識すると今まで気がつかなかったのが不思議なくらい存在感のある人物だった。
上から下まで白、白、白。
いっそ純白と言うべきか。
夜を切り裂く朝日のような女が、そこにいた。

彼女はレポートでも書いているのか、ひたすら万年筆を走らせている。
強盗がいることにも気づいていないのか、それとも気づいた上で無視しているのか。
どちらにしろ異常な集中力だった。

反応を見せない純白女に痺れを切らした強盗犯は彼女に銃口を向ける。
おいおい、ふざけんな……!

体が勝手に動いていた。
何故かはわからない。
ただ、彼女の“書く”行為を邪魔させてはいけないと思った。
強盗犯を押さえ込もうと飛びかかる。
取っ組み合いになり、強盗犯が撃った弾が太ももを掠めた。
痛ぇ。めちゃくちゃ痛ぇ。
それでも、銃から手は離さない。
だって離したら誰かを撃つんだろうが!

だが、そんな拮抗状態も長くは続かなかった。
強盗犯の蹴りが俺の腹を捉え、後方に吹っ飛ばされる。
落ちた先で頭を強く打った。
早く立たないと……!
もがく俺の視界に、円形に切り取られた闇が。
地獄を覗いているかのような錯覚。

中原「……あばよ」

ズガンッ

八月十日。
秋月マキシの新刊の発売日だったその日、俺は……


殺された。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
108Res/124.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice