15: ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/10/14(月) 15:53:29.32 ID:BLnFpW2L0
自宅から外の景色を最後に見たのは、あの演習の日だっただろうか。
ぴったりと閉じられたカーテンには、浅く埃が積もっている。
日光を取り入れなくなってから、うっきー君は段々と萎れていき、遂には枯れてしまった。
忙しいからと、逃げ続け鉢入れは未だ窓辺から場所を移していない。
植物すらも枯死した今、陽光を必要とする者はこの部屋からいなくなった。
しかし、カーテンだけでは全てを遮断する事は出来ず、光だけでなく外の賑わいも遮ってはくれなかった。
いつまで過去を引きずる気なのかと馬鹿にされるだろうが、俺はサクラに抱く感情も去ることながら、外からの音も未だに苦手だった。
子供の声が聞こえるとあの頃に戻ったかのような、錯覚に陥ってしまう。
なので任務が無い時は、日がな一日、耳栓をして過ごしていた。
音がなければ無いで、厄介な俺の頭は過去や悪意に囚われ始める。
これについては、最近発症したらしい。
強い後悔や反社会的な考えが浮かび上がっては、脳裏にこびりついて離れないのだ。
おぞましい思考を打ち消そうとするたびに、必ず失敗した。
それでも放っておくのは耐えられず、何とか消し去る方法を探り続けた。
そんな事を繰り返していると、俺は強烈な睡魔に襲われる。
昔から変わらない自己防衛の方法ではあったが、これも最近再発したようだった。
今は任務に影響が無いことを祈るしかない。
調べれば病名がついていそうなほど深い眠気が、無駄な思考の連鎖を強制的に終了させた。
そのまま素直に眠りについても、安眠という訳にはいかず、次の日は酷い疲労感に加えどこかしらに不調が出た。
こんな下らない毎日に終止符が打てるのはいつなのだろう。
四人で撮った写真を見ては、ただ溜め息をつくしかなかった。
35Res/45.08 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。