過去ログ - カカシ「春野サクラ……!」
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7: ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/10/14(月) 15:36:15.84 ID:BLnFpW2L0
あれだけの扱いをしておきながら、葬式だけはしっかり行う木の葉を、この時ほど恨んだことはない。

見たくもない顔が形だけの喪服を纏い、死者を悼む表情を作り込んでいる。どの面下げて参列しているんだと、怒鳴り付けられるほど俺は成長していなかった。

その気味の悪い集団に、俺はあの二人を見つけてしまった。明るいところで見ると、男というより少年と言った方が正しいように思える。あろうことか、二人揃って涙を流していた。俺の涙は枯れてしまったかのように、一滴も出てこなかった。なのになぜあんな奴等の方が堂々と泣けるのだろう。

すすり泣きや嗚咽が不気味に響き渡り、俺は吐き気をもよおした。いっそ吐いてやれば良かったと今なら思えるが、その時の俺は父さんを自殺に追い込んだ他人などに気を使い、吐き気を必死に押し込んでいた。

誰が喪主なのかも分からないまま、白煙がゆらゆらと空に上っていくのをぼんやりと見つめ、自分はなぜこんな所に立っているのかふと疑問に思った。

父さんが間違っていたのだろうか。確かに忍者にとって、仲間の命よりも任務の方が大事に決まっている。それは俺でも分かることだ。しかし、それはこれほどまでの仕打ちを受けなければいけない事だったのだろうか。自殺しなければいけない程のことを、父さんはしてしまったのだろうか。ルールや掟の方が、父さんの命よりも重かったのだろうか。

……きっとそうなのだろう。でなければ、俺はこれから木の葉の里でどう生きていけばいいのか分からない。里を恨んで生きていく道など、当時の俺は思い付きもしなかった。大多数の意見の方が正しいに決まっていると、自分に言い聞かせてしまった。

ここで、俺は里の方針通りの歪みきった決断をする。父さんのようにはならないと、誓ってしまったのだ。幼さが俺をルールや掟に固執させ、それに忠実に従うことで無駄に自信をつけていった。

その呪縛は何年にもわたり俺を縛り付け、大きな犠牲を払うことになる。そして、俺は「写輪眼のカカシ」として、生き始めることになった。



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