過去ログ - 美琴「お兄ちゃん!」一方通行「おォ、美琴かァ」
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171:鬼桜 ◆aVMyA5iujQ[saga]
2013/10/15(火) 01:44:58.08 ID:3W4IP3K90
 小柄な自分よりも更に小柄な体躯。
 特徴的なのは頭の上に存在する花畑≠セろうか。

 普段見せる、可愛らしい外見を引き立てる、魅力的な微笑みが今は欠片もない。
 首元に突きつけられたナイフによって、青ざめた顔をしていた。

 何故こんなところに初春がいるのか、そしてどうして初春が連れてこられたのか。
 その理由がはっきりとはわからない。

 黒子は動揺している為、気付いていなかった。
 よく見れば、わかっただろう。

 初春の腕にも黒子と同じ風紀委員の腕章が付けられていた事が。
 また、目の前で拘束しているリーダー格の男が先程、あいつを連れてこい≠ニ言っていた事が。

 あと一人捕らえれば事が収められるという状況で、しかし手が出せない。
 うかつに動けば、人質となっている初春がどういった目に遭うかわかったものではない。


 男達がとった行動は、結果的に、黒子の動きを止める事に対して、絶大な効果をもたらしていた。


 黒子は怒りに湧いていた。
 どこまで下賎な輩なのだと。

 そして同時に、自分の力の無さに悔しさが滲み、歯噛みする。
 黒子は、いつぞや自分が同じ状況に立たされた事を思い出していた。


 あの時よりも自分は成長して、しかしまだまだ未熟で、自分一人でこの状況を打破する術を持ち得ない。


「動くなよ、こいつがどうなってもいいのなら話は別だがな」


 男は自分が優位に立っている事を自覚したようで、余裕を見せるように振る舞っている。
 その振る舞いも、小物じみた台詞も、黒子を苛立たせるのには十分過ぎた。

 怒りで我を忘れかけている。

 こんな状況で演算をしようものなら、周囲に甚大な被害を及ぼすか、自滅するかのいずれかだろう。
 ただでさえも黒子の能力は精密な演算を必要とするのだから仕方が無い。

 そう考えることが出来るだけ、まだ何とか理性を繋ぎ止められている。


 偶然にも、男の立ち回りはほぼ完璧と言って差し支えないものになっていた。
 もっともそれは、対黒子に対してのみの立ち回りであったわけだが。

 黒子は我を忘れる自分を押さえ込もうとすることに注力し、考える余裕がなかった。
 男達は、気付いていなかった。そもそも、とても不幸なことにその事実を知らなかった。


 まだこの場には、切り札(ダークホース)≠ェ居た事に。


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