41: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 16:01:40.95 ID:DkuGHhzUo
ともかく、今日から本年度末まではこの会社で働くことになるのだ。どんな仕事が割り当てられるかは分からないが、芸能プロダクションにおける実務は、初めての経験になる。
それに関しての心配はない。研修が簡単な業務で、本物の業務がもっと難しいだろうことを差し引いても、ある程度こなせるだろう。
強いて言うなら、年度末まで自分の意欲が持つかどうか、だ。極力無責任なことはしたくはない。持ってもらうことを祈るしかなかった。
(今はやるしかないな)
内心で呟くと、僕は雑居ビルの鉄階段を登っていく。革靴がたてる、かん、かんという足音が雑居ビル内に響く。
そして、階段を上り終えると、少しさび付いた扉が見えた。扉には”中小プロダクション”の文字だ。
僕は少しばかり息を吐くと、ごんごん、と扉を叩く。インターホンさえないなんて、ややどうかしているようにも思えたが、それだけ資金繰りが厳しいのだろう。
ノックして少し経つと、ばたばたという音が聞こえ、ドアノブが回る。そして、ぎぎい、という軋んだ鉄の音が聞こえ、中から現れたのは人のよさそうな、初老の男性だった。
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