221: ◆vFrOP6Ejc.[saga]
2013/11/04(月) 21:30:43.29 ID:nt5je7820
「じゃ、じゃあ」
「いくぞ」
しばらくして、当麻の唇がわたしの唇に触れてくる感覚がした。
ああ、これが現実のキスなんだ。
夢の世界であれほどしたキスとは全然違う。
夢の世界のアイツの、手馴れた感じのキスじゃない、何か不器用なキス。
でも、本物を知ってしまうと、もう偽物なんかに惑わされない。
ただ、唇が少し触れてるだけなのに。
客観的に説明すると、「ちょっと柔らかくて暖かいものが唇に触れている」 そんなもんなのに。
体が震えて、涙まで出てきた。
王子様のキスで目が覚めるって、こういうことなんだろう。
夢が夢でしかないことが、はっきりとわかった。
もう、夢の世界になんて行こうと思わない。心の底からそう思った。
わたしの幻想が、完全に息の根を止められた瞬間だった。
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