1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/19(土) 23:49:46.81 ID:1F70Yf+ho
一番最初。
私が気付くよりもずっと前。
生まれたままの姿の私は、何も持っていなかった。
その目は、母親の姿を見つけてさぞ安心したことだろう。
記憶はない。
だから、憶測でしかない。
私の前に置かれた、一枚のシート。
すごろく。
スタート地点に、私の駒がぽつんと佇む。
まっさらな出発地点から、私は始まる。
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2013/10/19(土) 23:52:59.57 ID:1F70Yf+ho
私は手探りだった。
何をすればいいのか。
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2013/10/19(土) 23:57:01.45 ID:1F70Yf+ho
さいころを振る。
『1』
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2013/10/20(日) 00:02:07.26 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『1』
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2013/10/20(日) 00:06:21.11 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『1』
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2013/10/20(日) 00:11:39.38 ID:iNkSCVM3o
さいころを、振ろうかしら。
いえ、ここで止めておきましょうか。
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2013/10/20(日) 00:13:51.08 ID:iNkSCVM3o
「あ……」
きっと、幸せな記憶。
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2013/10/20(日) 00:20:59.20 ID:iNkSCVM3o
「弟を、失う」
「5マス、戻る」
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2013/10/20(日) 00:24:31.78 ID:iNkSCVM3o
大切な弟だった。
私の拠り所だった。
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2013/10/20(日) 00:29:02.65 ID:iNkSCVM3o
震える手は、さいころを振ることを止めない。
さいころを振る。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:33:08.95 ID:iNkSCVM3o
私は、また一人でスタートに佇む。
こんな家には居たくない。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:38:00.35 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『2』
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:43:28.75 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『1』
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:46:38.66 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『2』
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:50:26.13 ID:iNkSCVM3o
私は声を張り上げ、導くように歌う。
その時だけは、みんなついてきてくれた。
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:51:34.03 ID:iNkSCVM3o
コンクールの期間が過ぎると、私はまたいつもように戻った。
みんなもまた、腫物を扱う日々。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:52:14.40 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『1マス進む』
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:55:03.01 ID:iNkSCVM3o
私は、何も疑っていなかった。
きっと、思い描いていることは、間違いではないって。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 00:55:30.21 ID:iNkSCVM3o
さいころを振る。
『1マス進む』
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 01:01:31.51 ID:iNkSCVM3o
私は、無我夢中で手を伸ばした。
霞の中で、形も分からぬ何かを掴もうとして。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/20(日) 01:03:18.90 ID:iNkSCVM3o
「あ……」
力と共に右手に込められた、期待と不安は、やり場を失って戸惑い。
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