54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/24(木) 21:02:01.86 ID:5nC6zS2B0
寒さが身にしみる今日この頃。クリスマスという一大イベントも終わり、玄関に飾られたツリーが門松に変化するなど、街並みは一様に変化していた。これから来たるべき新年に向けて、世間は慌ただしく動くことだろう。年末から年始にかけて、多くの大人が、一年で一番忙しい日々を送ることになるのかもしれない。
そんな世間とはあまり関係ないのが、学校と呼ばれる閉鎖した空間と、学生と呼ばれる子供達だ。終業式も終わり、県内のほとんどの学校は冬休みに入っている。大体の学生は学校になど来ずに、今頃ベットで二度寝を満喫しているか、温かい家でこたつにでも入ってぬくぬくしていることだろう。この学校――私立青奉中学校も、本来ならばこの日、生徒は一人もいないはずだった。
しかし、校舎の一階にある三年一組――特進クラスと言われるこのクラスの教室には、なぜかいつもと同じように幾人もの生徒が集まっている。
「あーあ、なんで冬休みに学校来なくちゃいけないのー。まったく迷惑極まりないよー」
教卓の前にある机に伏せながらそうぼやくのは、このクラスを取りまとめる女子クラス委員、東堂あかね(私立青奉中学三年一組女子14番)だった。普段はこのクラスをまとめるしっかり者のあかねも、予想外の早起きによる眠気には勝てないのか、今はただダラダラ文句を言っている。女子の中でも比較的高身長であるあかねの上半身は、今や完全に机に預けられている状態だ。それに合わせて、シャギーの入った長めのショートヘアが、重力に従ってハラリと揺れた。
「ホントホント、何が特別補講だって話だよ。いくら特進クラスだって言ってもさ、休みは休みで欲しいよねー」
あかねの言葉に同調するような形で発言したのが、今日は二つ結びの髪型をしている辻結香(女子13番)だった。あかねとは対照的に、クラスで二番目に身長が低い小柄な女の子だ。あかねとは小学校からの友人らしく、大体休みの時間は一緒にいることが多い。暗くなりがちなクラスの雰因気を明るくする、ムードメーカーのような存在だ。
「文句ばっか言わないの。午前中だけなんだからいいじゃない」
「あ、帰りにさ、駅前のカフェで何か甘いもので食べて帰ろーよー」
そんなあかねと結香の発言をなだめたのが、クラスで一番身長の高い五木綾音(女子1番)だ。高めのポニーテールが印象的なクールな女の子で、先ほどのようにあかねや結香をなだめたり、時には突っ込みを入れたりする役割を担っている。所属していた陸上部ではエーススプリンターを務めており、このクラスの中では一番運動神経がいい。
そして、駅前のカフェに行こうと誘ったのが佐伯希美(女子7番)だ。成績優秀な人間が集まる特進クラスにおいて、二年時からずっとトップに君臨し続けるほどの頭脳を持つ人物。けれど、教室で勉強しているところは見たことがない。学校では、あかねや結香といった面々と会話していることが多いからだ。性格も、あかねや結香に匹敵するほど明るい人物である。
「みんなおはよう。あかね、朝からだらけてるわねー。そんなんだから、生活サイクル乱れるのよ」
「あ、おはよう……。みんな早いね」
あかねらがそんな会話を繰り広げていたら、細谷理香子(女子16番)と鈴木香奈子(女子9番)、そして園田ひかり(女子11番)が、たった今教室へ入ってきていた。そして、いつものようにあかね達のところへと集まっていく。いわば、このクラスの女子主流派グループといったところで、この七人は一緒にいることが多い。
287Res/306.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。