過去ログ - 咲「私は、普通の文学少女です」 京太郎「大嘘」 照「……6冊目」【阿知賀成分】
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501: ◆OtZIp/YaIxCt[saga]
2014/07/19(土) 20:18:38.20 ID:9VboebuE0
「それじゃ、穏乃特製の和菓子を希望するよ」
「……や、やっぱり! 私よりお母さんの方が」
「いいのか? それじゃ――」
「わ、私、作るから!」


 アタフタとする穏乃の姿に、俺は思わず笑ってしまった。


 考えてみれば、コイツのこういう姿をよく目にするようになった。
 何度か付いていった山登りとか、今日みたいに自転車で遠出の真似事をするうちに。
 いつの間にか、こういうやり取りは自然になっていた。


「……ところで、穏乃?」
「な、なに?」


 さっきまでのやり取りをまだ気にしているのか、ビクビクとしながら穏乃が応える。
 俺は、そんな彼女に向かって、


「……帰り、どうしよう?」
「――」


 予想外だったのか、穏乃は呆気にとられるような表情をしてみせた。


「……ゆっくりでいいから、一緒に帰るからね」
「それじゃ、穏乃は俺のペースに合わせてくれるのか?」
「今回だけ、だから」


 そう言って、プイッと横を向く。
 これもまた、「いつも」のやり取り。


 そして……


「あぁ、そうだ」
「なに?」
「そろそろ、俺のコーラ無くなったんだけど……」


 そう言って、チラッと穏乃の持つアクエリアスのボトルを見る。


「……」


 で、これもまた「いつも」通り。



 穏乃は、赤い顔をしながら、そのボトルを差し出して、


「――こ、今回だけ、だから」


 言葉を区切りながら、そう言うのだった……。


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