過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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220: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/12/02(月) 22:21:16.96 ID:WtfI3Ree0

「…………」

箱を開けたフィアンマは、指先でループタイを撫でていた。
無言のまま何度も、確かめるように、なぞっている。
トールは感慨深いような、嬉しい気持ちでロザリオを(彼はローマ正教を敵視していない)服越しに一度だけ撫で。
それから、フィアンマの様子を静かに窺った。
彼女の様子には変化が感じられない。ただ呆然としているように見える。

「…そんなに拍子抜けだった、か?」

やはり高価な何かの方が良かったのかもしれない。
いいや、ただ甘いものの方が喜んだかも。

いろいろな考えが浮かび、トールは苦く笑った。
下から顔を覗き込んでみると、ばっと隠された。

「……お前が、自分の考えで選んだのか」
「……まあな。だから言っただろ、お前の趣味に合うかどうかは自信ねえって」

ぽたぽた。

シーツに水滴が落ちる。
汗をかく程暑い部屋ではないのに、と思い。
それから、トールは狼狽せずにはいられなかった。

「おい、何泣いて、」

泣く程気に入らないなら手放せば良いのに、とトールは思う。
彼女は唇を噛み、タイを指先でくすぐった。

「………大事にする」

それだけ絞り出すように言うと、彼女は毛布を被ってそっぽを向いた。
トールは首を傾げ、毛布をつっつくことにする。


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