過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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243: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/12/08(日) 23:25:45.53 ID:kna01/qC0

プリンやゼリーを食べ、薬を呑み。
改めてベッドに横たわったフィアンマは、毛布にくるまる。
トールはというと、彼女がよろめきながら淹れた紅茶を飲んだのみ。
そして、彼女の枕元、その脇に椅子を置いた。
入院患者を見舞いへ来た客のように、椅子へ腰掛ける。

「トール」
「ん?」

彼女の額には、氷水に浸し、軽く絞ったタオルが乗っている。
そうしていると少し幼く見えるな、と感想を抱きつつ、少年は聞き返した。
弱っている人間の声というのは不安定で、可愛げがある。

「これは、疲労熱…で、ほぼ間違いないのだが…」
「? そうかい。ま、治るまで色々買ってきてやるよ」

そうじゃない、とばかりに、彼女の細い指がトールの服に触れる。
熱い指をそっと握ってやり、トールはフィアンマを見つめた。
金色の瞳はどこか泣きそうに揺らいでいる。

「あ、した……俺様が、お前の隣にいたら、」
「……居たら?」

唐突に当たり前のことを言い出すとは何事だろう。

そう言わんばかりのトールの表情は、無邪気だった。
ぎこちなく、ゆっくりと、フィアンマは一語ずつ願った。

「キス、してくれないか」

少々照れくさいものの、お安い御用ではある。
何を言い出すのかと、と安堵に肩を竦め。

「それなら明日じゃなくても、」




―――そのまま、トールの体はぐらりと揺れ、床に倒れ込んだ。


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