過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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253: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2013/12/09(月) 22:04:02.00 ID:h0Jw89pJ0

「おやおや、これは珍しい」

慈愛に満ちた声を出したのは、聖職者の男だった。
左方を司る彼はゆっくりと近づき。
教皇と同じように、彼女の背中を摩って宥める。

「……何事であるか」

外から戻ったらしい傭兵が、眉をひそめる。
ぐしゃぐしゃの泣き顔がみっともなくて、フィアンマは無言で俯いた。

「恐らく、心配をかけたことを悔やんでいるのだろう」
「優しい子ですからねー」
「そういう事情であったか。納得であるな」

そうではなかった。
この涙は後悔と、別れの悲しさによるものだ。
そして、これから自分が行うことへの心苦しさでもある。

「何泣かしてんのアンタら」

霊装の調整を終えたらしい女性の姿があった。
メイクはしていないらしい。
彼女はフィアンマに近寄り、袂から取り出したハンカチで目元を拭ってやる。
教皇から奪うように抱きしめ、頭を撫でて、快活に笑った。

「何かされたワケ? アンタが泣くなんて珍しい」

よしよし、と慰められる。
その心地良さが、かえって胸を締め付けた。


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