過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/01/29(水) 00:33:54.16 ID:Z1c5gg420
『……どうして、諦めてくれないんだ』
オティヌスの言葉に似た台詞が、フィアンマの口から漏れた。
自分には認識出来ないけれど、此処にやってくるまでにトールは苦痛を味わっているだろう。
自分には想像し難い苦しみのはずだ。
オティヌスが、それを示唆するような言葉を口にしているのだから。
『トールが戦っている理由は、俺様に過ぎない。
オティヌスが折ろうとしているのも、結局の所、トールの俺様への執着心だ。
俺様のことさえ無かった事にすれば、オティヌスはトールを放っておくはずなのに』
これ以上地獄を味あわなくて済む。
戦いや喧嘩というよりも、もはや一方的な虐殺の被害を受けないで済む。
『それでも、トールはお前を救いたいんだろ』
上条のシンプルな言葉に、フィアンマは沈黙する。
彼は彼女を見やり、もう一度同じ事を言った。
『戻りたい、って思わないのか?』
『もしも頷いたら、お前は手を貸してくれるのか』
『もちろん』
ならばどうして最初から申し出てくれなかったのだ、と言いかけて。
上条の真意に気がついた為、押し黙る。
もしここで簡単に戻ったら。
同じ選択をした時、自分はまた自己犠牲を選ぶ。
そうならないように、上条はずっと待っていた。
彼は最初から宣言していたはずだ。
自分の気持ちが、収まるべきところへ納まるまで、待つと。
だから待ち続けた。何十年も、何百年も。一緒に。
『俺様が戻れば、お前はまた一人になるぞ?』
『別に、良いよ』
上条は、苦々しく笑っていた。
『初恋(げんそう)もぶち壊されたことだしさ。
やっぱり、俺は偽善者だから…狡い引き止めなんて出来なかった』
それから。
『俺はもう戻れないけど、フィアンマには居場所がある。
もしも人生を終えて、ここに来たら。その時はまた、一緒に話そうな』
彼はゆっくりと息を吸い込み。
竜王の顎<みぎうで>を、前方へと突き出した。
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