過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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639: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/03/16(日) 01:56:04.28 ID:TIIwc3tJ0

「出来るだけ一撃で―――覚悟してください」

どうやら神裂は、フィアンマを捕縛することは本意ではないようだ。
無理もない。
捕縛されてしまえば最後、フィアンマは手荒な扱いをされ、惨い処刑をされるだろう。
何しろ第三次世界大戦の首謀者にして、魔神オティヌスを逃がした者なのだから。
いっそ、ここで神裂の手にかかって死んだ方が、死までの末路はマシ。
発見してしまった以上は、良心に従って捕縛する。
神裂は、静かに宣言する。慈悲をかけるための魔法名。

「―――『救われぬ者に救いの手を(Salvere000)』」

宣言と同時、『七閃』と呼ばれる技が放たれた。
魔術と分類するには至らない、術式と見せかけたフェイク(攻撃)。
街路樹やアスファルトが斬撃を受け、バラバラに砕ける。
ほんのわずかに掠ったフィアンマの頬が、痛みを発した。
熱にも似た痛み。ツゥ、と血液が頬を伝った。

「投降しては、いただけませんか」
「俺様に言っているのか?」
「以前の貴方であれば、私如きの攻撃は軽々と防いでいたはずです」

事実だ。

以前の『右方のフィアンマ』が、たかが一聖人に負けるなどということはありえない。
しかし今や、フィアンマには『聖なる右』も、その一部たる『第三の腕』もない。
神の右席としての特質を喪った今、彼女は一般魔術師より少し強い程度の魔術師に過ぎない。

「貴方は今、決して万全ではない」

誤魔化しとハッタリでどうにか出来るかと思いたかったが、そうもいかないようだった。

「……神頼みでもしてみるかな」

徐々に近づく足音に目を細め、フィアンマはにこりと笑む。


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