過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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654: ◆2/3UkhVg4u1D[saga !red_res]
2014/03/16(日) 22:43:37.92 ID:Ihb2iPeW0



――――ぽた、ぽた。

ザ―――――        ジジジ――



大雨の中で、その青年は佇んでいた。
世界中で、一人ぼっちになってしまった。

『なあ、フィアンマ。終わったよ』

その笑みは、血に濡れている。
焦げて何が何だかわからない死体が、あちらこちらに転がっている。

『お前を殺したヤツも。お前を救おうとしなかったヤツも。
 お前を知ろうともしなかったヤツらも、全員。
 だけど、何でだろうな。……寂しいよ』

無造作にやや高い位置でまとめられたポニーテールの、金髪。
彼女が触れて戯れ、綺麗だと微笑んでくれたもの。

『これだけあれば、多分足りるだろ?』

黒い毛皮のストールに包まれた体は、酷い勢いで冷えていく。
得物をしまいこみ、ふらふらと歩いて、しゃがみこんだ。
測定は既に済んでいる。やることもわかっていた。

『世界中の人間を使って、お前とまたやり直したいんだ』

俺、おかしくなっちまったのかな。
それとも、最初から狂ってたのか。

アイスブルーの瞳の奥を感情の濁流で揺らし、彼は指先で地面をなぞった。




―――たとえ、どれだけ底抜けに世界が滅茶苦茶になっていったとしても、彼女に傍にいて欲しい。


その想いだけで、俺は、


俺は。


――――――――――ザザ、―――ジ。

 



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