過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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664: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/03/21(金) 23:36:32.59 ID:rD9HxYdm0

翌日。

前夜のハンバーグが予想外に効いた重い身体を引きずり。
二人は雨の日に散歩に出た。
最初こそ小雨程度だったが、だんだんひどくなってくる。
所謂相合傘をしている二人は、雨宿りをする場所を探す。

「降るなら思いっきり降った方が気分は良いな」
「天気雨は好かんのか」
「雨臭くなるだろ、あれ」

天気雨。
別名を狐の嫁入り、などという天候。
晴れなのに雨が降るという不思議な状態である。

「そこの仲良しカップルさん」

にへら、と人好きしそうな笑みを浮かべたスーツの女性に声をかけられた。
何のセールスだ、と思いつつも二人は立ち止まる。
仮に見目を偽った襲撃者であった場合、対峙した方が戦いやすいからだ。

「もしよかったら、モデルをしてはいただけませんか?」
「…モデル?」

はい、と女性は背後の建物を指差す。
所謂結婚式場だ。十字教系の教会を模しているが、宗教とは厳密には関係のない。

「スタイル抜群のカップルさんにお願いさせていただいているんです」

お願いします、と彼女は頭を下げる。
ウェディングドレスやタキシードを着て、顔を入れずに写真撮影するらしい。
多少の報酬も出るようなので受けても良かった、が。

(継ぎ目、か)

フィアンマの右腕は、接合手術を行ったことによって歪な傷跡がある。
素肌でも目立たない、と言い切るには少しだけ厳しい。

「ドレスは何種類位あるものなんだ?」
「色々ありますよ。ワンピースタイプ、肩出し、ビスチェ…」
「ふーん。…じゃ、やるか」
「トール、」

トールには、既に先述のことについて話してある。
そのはずだが、彼は危惧する様子がない。
戸惑う彼女の手を握り、彼は快活に笑みを浮かべてみせた。

「袖があるやつを着れば問題ねえだろ。飾り着けてみるとかさ」
「だが、」
「……『それ』は、お前が払った犠牲の証拠だろ。
 別に汚いものじゃないだろうが。お前の体に醜い部分は無い」

傲慢な方が似合っていると言ったはずだ。
そう言い切って、彼は歩き進んでいく。


………こういうところが、フィアンマは好きだったりする。


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