過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/05/03(土) 23:18:47.02 ID:wPSnM3M00
重厚な結界に包まれた廃教会。
その中に入ってようやく、トールはフィアンマを降ろした。
ふらつきながらもしっかりと立ち、彼女は周囲を見回す。
「何故イタリアが攻撃される…?」
「ローマ正教が世界中から敵視されてるからな。
ローマ正教徒は皆殺しにしろ、っていう感じだろ。
近頃の殺人犯はローマ正教から輩出されてるし」
「……二○億もの人間を、…敵視…?」
「たかが二○億。潰れても、支配者次第で何とでもなっちまう」
「………たったの十三年で、何がそこまでお前を変えたんだ」
「……さあ。色々ありすぎて、今となっちゃ思い出せねえことばっかりだ」
コツ、コツ。
教壇に腰掛け、彼は不遜にも聖母の像を見やる。
彼の左手薬指には、指輪がはまっていた。
細身の、純銀のリングだ。
華美を必要としない、結婚指輪。
「……俺たちは、此処で結婚したんだ」
二人きりで、と彼は言って。
神父以外誰も呼ばずに、と。
「死が二人を分かつまで、なんて寂しいよな」
トールが、何の気なしに右手を振る。
聖母の像の首が、ごろりと堕ちた。
「死が二人を別つとも、だ」
あまりにも冒涜的な所業に、フィアンマは不愉快さを隠さない。
彼は、首を緩く横に振った。
「怒った顔も可愛いな、フィアンマ。
………このまま、お前は一生此処に居てくれればいい」
「………嘘を、ついていたんだな」
「しばらくしたら元の世界に戻るって話か? ああ、ありゃ嘘だよ」
んー、と伸びをして。
彼はスーツのジャケットを正す。
「俺は此処に残る。俺"が"、残るべきだろ。
そのためには『俺』が必要だから、……行ってくる」
止める間もなかった。
異世界の、過去の自分を殺すと湾曲して宣言し、彼は教会を出て行く。
今のフィアンマに、そこから出る術はなく。
出たとして、その街に安全はなかった。
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