229: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:04:49.38 ID:9qjjXKR6o
凛が暢気なことを考えていると、
「先日はどうもありがとうございました。おかげさまで大事には至らずに済みました。お医者様も、応急の止血が功を奏したと仰ってまして」
女性は深々と頭を下げた。
230: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:05:43.71 ID:9qjjXKR6o
……まただ。
また理解出来ない不可思議なことが起きた。
この目の前に立つ女性を介抱したなど、微塵も記憶が無い。
231: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:06:45.32 ID:9qjjXKR6o
思考に耽り反応の鈍い凛を視て女性が眉根を寄せたので、慌てて取り繕った。
「あ、ああ、なるほど、なるほど……。わざわざご丁寧にありがとうございます」
そう云って、軽く頭を下げる。
232: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:07:31.64 ID:9qjjXKR6o
申し訳なさそうにする女性に、凛は
「どうぞお気になさらず。……それでは」
と会釈して、駅への路を急ぐ。
233: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:08:03.73 ID:9qjjXKR6o
・・・・・・
234: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:08:40.11 ID:9qjjXKR6o
しかしネクタイが蓋の役割をしているので、あまり風の流れは起こらない。
しかもベースの練習で酷使したせいで、指が少しだけ筋肉痛になっていた。
はぁ、と溜息を漏らし、右手に持ったバッグを降ろしてから、自らのブースへ坐る。
235: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:09:19.50 ID:9qjjXKR6o
数瞬でデータリンクを終え、メニューが表示される。
{ お仕事 } [ LIVEバトル ]
[ レッスン ] [ 特訓 ] [ ガチャ ]
236: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:10:24.44 ID:9qjjXKR6o
「――今度の端末はスゴ早! 携帯端末の最先端へGO!」
凛によるプロモーションが、現在接続しているNEURONet全ユーザへとワンウェイトラフィックで配信される。
この広告は一方通行―ワンウェイ―の分、ユーザが意識の隅へ追いやれば自動的にフェイドアウトする。
237: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:11:32.66 ID:9qjjXKR6o
「――二倍になった処理速度で、虚像レイヤーの、視覚神経へのラグも大幅に減ったみたい。ちょっとつけてみるね」
凛は一度ネットワークをポーズしてから延髄のプラグを抜き、新型端末を装着した。
リジュームすると、なるほど、凛が現在プライベートで使用している携帯端末とは処理速度が明らかに異なる。
238: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:13:20.56 ID:9qjjXKR6o
フォーラムには、続々と新製品の感触への反応が届く。
――おっ、本当に速いぞ。いいな、これ
――あはぁ^〜ん、凛ちゃんと感覚を共有してるよおおおおおおお!!!
239: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:16:50.33 ID:9qjjXKR6o
その後、数十分おきに、何回か、同様のプロモーションを行ない、OSのトップメニューへと戻って来る。
「――お疲れ様、凛ちゃん。いつものことだけど、反響凄かったわね」
375Res/192.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。