284: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:49:49.26 ID:cp6WeGbSo
午後、あの笑みを破壊する事実を述べなければならないのだと思うと、実に気が滅入る。
はぁ、と溜息を漏らし、右手に持ったバッグを降ろしてから、自らのブースへ坐った。
ブース自体は、簡素なものだ。
285: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:51:46.21 ID:cp6WeGbSo
数瞬でデータリンクを終え、メニューが表示される。
{ お仕事 } [ LIVEバトル ]
[ レッスン ] [ 特訓 ] [ ガチャ ]
286: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:52:33.95 ID:cp6WeGbSo
≪皆さん、でれっす。CGプロ・ニューロキャスト、CLUB nb STATIONのお時間、本日のパーソナリティは渋谷凛だよ≫
目を瞑り、テレパシーを送る感覚で言葉を紡ぐと、それがそのままリスナーのニューロンへと届けられていく。
≪まずお知らせだね。来週プルリーグに出演することが決まったんだ。共闘するメンバーは誰になるのか、まだ私も知らされていないんだけどね≫
287: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:55:07.25 ID:cp6WeGbSo
≪そうそう、昨日その予習・勉強を兼ねて、永田町の国会図書館へ行ってきたんだけど、あそこ凄いね、びっくりしちゃった≫
あれだけショックを受けた精神状態でも、トークのネタ収集を忘れないそのプロ意識は、トップアイドルの格の違いと云える。
なまじ、精神状態に大きく影響を受けてしまうのがNEURONetの仕様なだけに、不安定な精神を、僅かな片鱗さえも顕すわけにはいかない。
288: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:56:03.43 ID:cp6WeGbSo
動揺を必死に封じて、頭をフル回転させ答える。
≪あ、うん。基本的には18歳未満は利用出来ないんだけど、事前に申請と登録を済ませておけば大丈夫なの。膨大な資料があって、二世紀近くも昔の新聞を読めたりしちゃうんだ≫
――200年も昔とか、想像もつかないよなー。癌すら治せなかったんだっけ? ローテクな時代だよな――
289: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:57:11.80 ID:cp6WeGbSo
その後そつなく番組進行をこなし、送信を終えると、意識は再びチューブの世界へと戻された。
同時に、ちひろとの会話セッションがオープンする。
290: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 00:58:49.10 ID:cp6WeGbSo
「うーん、何とも云えない状態だけど……今日の仕事、私の分は全部済んだよね?」
凛はそう云って、小難しい顔をして髪を掻き上げ、
「業務報告書を出し終えたら、ちょっと訊きたいことがあるんだけど」
291: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 01:00:49.85 ID:cp6WeGbSo
・・・・・・
エンジニアリングルームへ顔を出すと、部屋の奥でコンソールをいじっている複数の技術者が凛を視認した。
292: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 01:02:03.34 ID:cp6WeGbSo
でもなんで、ちひろさんはこんな部屋に来いって云ったんだろう……
凛がそう不思議に思いながらポートに装着すると、
「――凛ちゃん、お待たせ」
293: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 01:02:44.02 ID:cp6WeGbSo
「――ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけど」
振り返った凛の、その大仰な驚きぶりに、ちひろは苦笑い。
「――それで、どうしたの? 訊きたいこと、だなんて。あんな表情をして」
294: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/04(月) 01:04:24.86 ID:cp6WeGbSo
――
二人っきりになったことを確認した凛は、それでも尚、たっぷりと時間を取って、まっすぐちひろを見た。
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