50: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/02(土) 04:56:18.89 ID:199Q0AEFo
蓋の役割をするネクタイがないので、肌を撫でる風の流れがいつもより心地よい。
調子に乗って強く何度も引っ張ると、プチッと糸の切れる音がして、シャツの一番上のボタンが飛んでしまった。
「……」
胸の谷間が露になり、ブラは辛うじて隠れている……そんなギリギリの状態となる。
裁縫道具は持ってきていないので、帰宅してから縫うしかない。何と云う因果だろうか。
凛は左手で頭を抱えて、はぁ、と溜息を漏らし、右手に持ったバッグを降ろしてから、自らのブースへ坐る。
ブース自体は、簡素なものだ。
端末の他は、首に挿さるコードの邪魔をしないよう、頭部と背部をセパレートで保持するリクライニングチェアがあるのみ。
凛は、昨日忘れた、机の上へ放られたままのハンカチを回収してから、プラグを延髄のポートへ挿入した。
ノードのOSが起動し、NEURONetへ接続される。
『――CONNECTED――』
眼を瞑ると、長いチューブと云うべきか、トンネルと云うべきか、変幻自在の筒の中を浮遊しながら進む感覚が身を包む。
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