過去ログ - サスケ「何で俺を連れ戻しやがった……!」
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1:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 17:57:07.30 ID:LFgMt1P+0
イタチが里に現れた。偶然その事実を 知ってしまった俺は、ナルト達を追いかけ宿場町へと向かった。仲間をイタチの 魔の手から守るために、なにより家族や一族の無念を晴らすために、少しでも早く復讐を果たそうと必死だった。

やっとの思いで突き止めた宿屋の廊下 で、風変わりなマントを羽織り、イタチは俺の目の前にいた。奴の姿を目にするまでは、仲間を守りたいと思う理性もあった。一族のためにと思う気持ちも確かにあったのだが、いざ対峙した瞬間、 俺は憎悪と殺意のみに支配された。

たかが13才のガキがトラウマと相対し て、平気でいられる訳がなかったのだ。それを俺は、無謀にも今なら勝てると思い込みこの場に来てしまった。俺とアイツは忍者として同じ土俵にすら立てていなかった。

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2:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 17:58:53.06 ID:LFgMt1P+0
結果、俺は容易に想定出来るシナリオを辿る事になる。我を忘れた無鉄砲な攻撃が通用する筈もなく、俺の存在に興味すらないのだと眼差しが物語っていた。

力量の差を突きつけられた挙げ句、複雑な 紋様が浮かぶ赤い目で睨み付けられ、俺の意識はあの日へと飛ばされてしまう。身近な人の死に悲しみを感じることも出来ず、恐怖から死に物狂いで逃げ出してさ迷い続けた。

それから数週間が経ったのち、地獄のような幻からやっと意識を取り戻した俺は、穏やか過ぎる病室のベッドの上で横になっていた。まだ状況が飲み込めず、サクラに抱きつかれたまま放心状態に陥る。
以下略



3:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:01:18.60 ID:LFgMt1P+0
しばらくして、まだ病室に居たサクラは、リンゴの皮を剥いていた。

その姿に紐付いて思い出されるのは、少し前の会話だ。ナルトの活躍を俺によるものだと思い込んだサクラは、俺に礼を言ってきた。なぜ、俺が助けたと言えないのだろう。イタチの狙いもアイツだった。ナルトと俺の差は一体なんなのだろうか。扉を開く音と共に、一番会いたくない奴が現れる。

ノックもせず病室に入り込んだナルトが、神経をわざと逆撫でするように俺の安い挑発に乗っかった。こいつに劣っている筈はないのに、あろうことかこいつに助けられてしまった。無力感や焦りを認めたくない一心で、全てを怒りに変える。
以下略



4:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:03:18.53 ID:LFgMt1P+0
サクラとカカシは異変に気づき、俺を引き留めようとしてくれた。サクラは俺なんかを大好きだと言ってくれた。カカシは自分も同じ境遇にあるのだと、だからこそ仲間は大切だと説いてくれた。

なのに、俺は何も受け付けることが出来ず、イタチへの憎しみでいっぱいだった。大蛇丸の元へ向かう事が最善だと判断した訳じゃない、俺じゃイタチには敵わないという現実から一刻も早く逃げ出したかっただけなのだ。

呪印によってやっと特別な自分を手に入れた、そう勘違いに溺れたときナルトが俺を現実に引き戻しに来た。
以下略



5:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:04:53.52 ID:LFgMt1P+0
「何で俺を連れ戻しやがった……!」

飄々とした雰囲気を纏い、普段と変わらない表情で仲間だからとだけ答えた。当たり前のように優しい言葉をかけてくれるカカシに、俺は八つ当たりをし続ける。

理不尽な恨みを募らせ、怒りで防御を固める事で、自分はこんなことは望んでいなかったのだと思い込んだ。もう情けない自分を見るのは耐えられなかったのだ。仲間に助けられるだけの弱い自分などいらなかった。大蛇丸に全てを奪われてでも俺は強くなりたかったのに、静かな病室に居る現実を受け入れられなかった。
以下略



6:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:08:30.03 ID:LFgMt1P+0
俺が写輪眼について罵倒した時、今まで何を言おうと変わらなかった表情が一瞬だけ揺れた。右目しか見えていないのに、あんなに人が傷ついた顔を見たことがなかった。しかし、歪みきった俺はあろうことかチャンスだと感じ、さらに畳み掛ける。

どの面下げて生きてやがる、お前に写輪眼を使う資格はない。確かそう言った。 カカシは一切否定せず、いつもと変わらない眠そうな目で、そうだなとだけ言った。ちょうどその時、扉をノックする音が響きナルト達が懲りずに戻ってきた。

いつもなら俺に一言二言かけさせるだけですぐに二人を追い返していたのに、この時はナルト達と入れ替わりカカシは病室を出ていった。少し驚きつつも、俺と長く話せるとナルトもサクラも喜んでいる。とてもささやかな異変だった。
以下略



7:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:11:12.99 ID:LFgMt1P+0
今日もナルト達は見舞いにやって来た。自分だって俺のせいで大怪我を負ったのに、辛そうな素振りは一度も見たことがない。サクラも毎日俺の身の回りの世話をしてくれた。

なのに、俺は放っておいて欲しいという願いさえ叶わないと嘆いていた。あれから一週間も経ったのに、俺の心は荒んでいく一方だった。

二人を罵ろうとした時、昨日の表情は嘘だったかのように、いつものカカシが現れた。しかし弱点を知ってしまった俺は、二人を出ていかせる隙も与えず早口で捲し立てる。ナルトもサクラも、目の前で他人に向けられる悪意は耐えられなかったらしい。何とか制止しようとしていたが、俺は完全に無視し言葉の刃でカカシを傷付け続ける。
以下略



8:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:14:44.91 ID:LFgMt1P+0
数時間後、病院に一人の患者が担ぎ込まれた。任務を完遂した瞬間、その場に倒れ込み意識が戻らないらしい。青ざめた顔は体に相当な負担がかかっていた事を物語り、それが誰のせいであるのか分からないほど俺は馬鹿ではなかった。

影分身は本来禁術に指定されている。里から離れている間中ずっと使用していたのなら、チャクラの消費量はかなりの物だ。任務を遂行しながら禁術を発動し続けるなんて、本来なら不可能な筈だった。

それをカカシはやってのけてしまった。当然、ナルト達の為でもあっただろうが、俺の為であることも疑う余地もな かった。状況は深刻で、病院に泊まり込む覚悟のナルトとサクラは、無言で暗い窓の外を見ていた。
以下略



9:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:16:48.29 ID:LFgMt1P+0
さらに数時間が経ち、いつの間にか眠っていた俺達をシズネが起こした。暗いとも明るいとも言えない顔が、中途半端に不安を煽る。カカシの容態も実に中途半端な物だった。

的確な応急処置と火影のおかげで、何とか一命はとりとめたらしい。しかし一気に経絡系に負担をかけたため、チャクラの流れがズタボロで忍者として生きていくのは無理だと告げられた。それどころか日常生活さえもまともに送れない可能性が高いと、死よりも酷いかもしれない宣告を受けた。

サクラは真っ先に泣き崩れた。ナルトは何とかしてくれと、大声をあげている。俺は何も出来ず呆然としていた。


10:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/11/05(火) 18:19:40.72 ID:LFgMt1P+0
もうすっかり傷もふさがった俺は、カカシの病室の前で立ち尽くしていた。なんと言って謝ればいいのか分からない。どんな顔をすればいいのかさえ分からなかった。

それほど経たない内に、聞き慣れた声が室内から響く。

「そんな所で何やってんだ?」
以下略



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