過去ログ - サスケ「何で俺を連れ戻しやがった……!」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[saga]
2013/11/05(火) 18:40:09.27 ID:LFgMt1P+0
俺が里を抜けようとした時から、もう三年が経った。
俺達は修行と任務に励み、全員中忍試験に合格する事が出来た。サクラの医療忍術の腕も格段に上がり、覚えたての頃から毎日根気よく治療を続けた結果、皆が匙を投げたはずのカカシは、ボロボロだった経絡系は見事に修復され、体の衰えとチャクラの乱れを除けば健康体と言って良いほどに回復していた。
これには火影も驚き、サクラを誉めちぎっていたのは半年も前の事だ。未だに俺達はカカシの笑った顔を見ることが出来ていない。相変わらず焦点の定まらない右目は、俺達の方を向く事すらない。小さな糸口でも見逃さないよう、反応が あったと勘違いしては一喜一憂を繰り返した。
火影も様子を見には来るものの、ずっとチャクラの流れが乱れ続けていたので、 正常に戻すのは中々難しいという。もしかしたら目を覚ます事を拒んでいるのかもしれない、誰かが呟いた。
それでも、俺もナルトもサクラも誰一人 諦めてはいなかった。毎日病室を訪れては任務内容やどうでもいい日常を話して聞かせ、とにかくマスクを取ろうとする ナルトを、俺とサクラで止めるのが定番になっていた。どんなに時間がかかってもいつか取り戻せると信じて、俺達はカカシの笑顔を待ち続けた。
今日もすっかり見慣れた病室の扉を開けると、あまりに唐突過ぎて何が起きたのか分からず、俺は混乱した。とても自然に、間延びした声が部屋に溶けていく。
「お、サスケじゃない。よく来てくれた ね」
カカシは何事も無かったかのように、上体を起こしこちらを向いていた。柔らかい日差しを浴びた銀色の髪が、体の動きにあわせて揺れている。眠そうに開かれた右目は、確実に俺の事を見ていた。
これが夢だったら最低の悪夢だ。どうか現実であって欲しいと、このときほど願った事はない。
俺が無言で立ち尽くしていると、少し遅れてナルトとサクラも病室へやって来た。二人に対しても、カカシはいつもの調子で声をかける。
「ナルトとサクラも来てくれたのか」
「先生……!」
「カカシせんせー!!」
脇目も降らず素直に飛び付けるナルトが羨ましい。俺はまだこれが幻ではないかと疑って、怖くて動けなかった。サクラも俺の横で呆然としていた。
「お前らのお陰で戻って来れたよ。本当にありがとね」
例え幻だとしても、この衝動には勝てそうにない。嬉しそうに笑うカカシを見て、俺は人目もはばからず声をあげて泣き出してしまう。それにつられて、ナルトとサクラまで大声で泣き出してしまった。16才にもなって、中忍でもある俺達は小さな子供みたいに泣いていた。
カカシは困ったように笑い、扉のそばに立つ俺達を手招きした。いつものスカした俺はどこへ消えたのか、手招きに誘われてサクラと一緒にカカシに抱きついた。ナルトも俺達に押し退けられまいとしがみついている。頭を軽く叩く手が懐かしくて、俺達はもっと泣いた。
いつもと変わらない病室で、俺達はずっと泣きながらずっと笑っていた。そんな俺達を見て、カカシもずっと嬉しそうに笑っていた。
ー終わりー
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