過去ログ - モバP「遊佐こずえのプロデュース」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/06(水) 14:46:22.84 ID:9JKm4yMf0
#1

――おはよう、母さん。

 2階から降りてきた私の呼びかけに母は応えなかった。
 彼女は食卓に顔を埋めたまま、静かに寝息を立てるだけでそれ以上は動かない。
きっと昨晩もずっと咽び泣いていたのだろう。

――もういい、もう泣かなくていいよ母さん。もう今日で俺、プロデューサー辞めるから。

 テーブルに伏した母の身体にタオルをかけてから、自分の支度を済ませる。
それから昨日書いた辞表を鞄に収めると、私は職場へ向け、家を後にした。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 14:47:24.48 ID:6QP22ub1o
こずえと聞いてすっ飛んできたらシリアス系だった期待


3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 14:51:40.85 ID:9JKm4yMf0
#2

「おはようございます。――やっぱり来ましたね。それで……少しは落ち着きましたか」

 その言葉に何か引っ掛かりを感じたものの、職場の事務員さんの気遣いに、私はなるべく元気に「はい」と答えた。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 14:52:59.55 ID:7yxtl+pgO
待望のこずえちゃんss


5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 14:55:41.45 ID:9JKm4yMf0
「ちひろさん。もう俺にはアイドルをプロデュースする資格はありません。
 自分の担当アイドルの……いえ、一人の女の子の未来を奪ってしまったんです」

 感情を抑えたつもりで絞り出した声は、自分でもそれと分かるほど震えていた。

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:01:45.56 ID:9JKm4yMf0
#3

「ふわぁ…あなたがわたしのぷろでゅーさー…?」

 生暖かいような感触が私の手の中に、いつの間にか滑り込んでいた。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:08:08.70 ID:9JKm4yMf0
#4

 あまりにも突然の出来事だったので、私は頭が真っ白になっていた。
しかし、この手に握られた小さな温かみが、私の脳裏にあの悪夢……いや、紛れもない現実を思い出させる。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:24:30.30 ID:9JKm4yMf0
「近々、この子にぴったりのお仕事の、オーディションがあります。

 こずえちゃんの仕事が成功すれば、あとは辞めるも辞めないもあなたの自由ですし、
きっと自分の活動を全うできなかった、あの子への手向けにもなるでしょう」

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:30:22.93 ID:9JKm4yMf0
#5

「ぷろでゅーさーは…どうしていつも…かなしそうなかおをしているの…?」

 仕事の台本を読み終えたこずえが私にそう訊いてきたのは、彼女が私の担当アイドルになってから一週間が過ぎようとしていた時だった。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:37:02.77 ID:9JKm4yMf0
#6

「こずえの一つ前に、担当していたアイドルがいたんだ。
 こずえとはまた違った魅力を持っていて、でもその子も今のこずえみたいに一生懸命だった。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:43:02.21 ID:9JKm4yMf0
「その日予定していた仕事は彼女にとって、とても大きなチャンスで、それはもう張り切っていたんだ。

――でも、その日の朝は台風が近かったのもあって、大雨だった。

 だから本当は、先方には謝ってその仕事を断るべきだったし、
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 15:45:46.78 ID:YGqaqeojo
私なのか俺なのか


13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:47:55.47 ID:9JKm4yMf0
 半月近く経過したが、その時の事だけは、今でも鮮明に覚えている。
――土砂降りの交差点。横転したトラック。歪んだ社用車。

 大粒の雨の中、辛うじて見えるのは赤に塗れた自分の手と、それが伸ばされた先に横たわる彼女の身体。
頬を伝う雫は次第に血と涙の生暖かさに変わり、サイレンの音が大きくなるにつれ、私の意識は遠のいていった。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:51:05.56 ID:9JKm4yMf0
#7

「話してくれてありがとう、プロデューサー。もう、自分を責めなくていいんだよ」
 こずえが今までとは全く違う雰囲気でそう喋ったのは、彼女が見事勝ち取った仕事の、本番直前だった。

以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:54:08.63 ID:9JKm4yMf0
#8

――プロデューサーさん。全部理解してくれたんですね。
ボクはプロデューサーさんの事、恨んでなんかいませんからね。むしろボクの為に頑張ってくれて……感謝していますから。

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 15:57:29.18 ID:9JKm4yMf0
「幸子……泣いているところ悪いけど、ちひろさん呼んでくれないかな。

 こずえの晴れ舞台を観たいんだけど、……身体が言う事聞かなくってさ……

 それが終わったら今度は俺、お前の仕事っぷりも観たいなぁ……」
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]
2013/11/06(水) 16:05:30.99 ID:9JKm4yMf0
HTML化依頼しました。
元ネタはブルース・ウィリス主演のアレです。

>>12
地の文、こずえに対しては「私」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 16:08:05.29 ID:p3utZp7To
やっぱりPが死んでたか…


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 17:25:33.15 ID:1/KAXJIWo



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/11/06(水) 18:52:58.99 ID:jTYp6zHao
また幸子を殺したな…。
どうして幸子はこうも不遇なんだ。
腹パンされたりリョナられたり。


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/06(水) 18:55:14.15 ID:TrRKJdCqo
>>20
よく見ろ死んでないぞ


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