過去ログ - ブギーポップ・クロス Part2 〜神様のクラクション〜
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5: ◆qXEKQweJllf.[saga]
2013/11/08(金) 11:38:06.78 ID:99tRwpu/o

〜〜〜

「……」

文芸部の部室。

そこに俺はいた。

特に何をするわけでもなく、椅子に座りぼんやりと窓の外を眺めているだけだ。

「……」

音のない部屋は悲哀に満ちていた。

「……」

少し前までは、碁や将棋、オセロなどのボードゲームの音。
本をめくる音、お茶を淹れる音。
カチカチとパソコンをいじる音。

様々な音に溢れた部屋だった。

今は辛うじて自分の呼吸音が聞こえるだけの部屋。

自分が生きている音だけが聞こえる部屋。

自分だけが生き残ってしまった音のする部屋。

「……」

目を閉じて思い出す。

無茶苦茶ながらも楽しかった日々を。

涼宮ハルヒの、火傷しそうなくらいの満開な笑顔を……。

「……口、笛?」

どこか遠くで聞き覚えのあるメロディが口ずさまれた気がした。

俺はこの曲を知っていた。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー……そうか、やっとか……」

そいつがいそうな場所を探してみる。

「……どこだ、ブギーポップ!居るんだろ?」

部屋の隅でカサリと音がした。

「そこか!」

振り向くと、そこには一枚の埃をかぶった栞が落ちていた。

「……幻聴か…………クソ」

見覚えのない栞が、隙間風で落ちただけだったみたいだ。

あの口笛も、ただの幻聴だったのかもしれない。

「クソ……クソぉ……」

何もできないスカラムーシュはただ泣くしかなかった。

でも、涙を流した俺は……ピエロですらなくなった。


ピエロはいつも笑っていなければならないのだ。


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