161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 20:44:23.54 ID:nOLAyVuT0
「でも」
佐藤は、ジャングルジムに登り始める。小さな彼女は、一見すれば小学生に見間違えてしまう。
昔は、ここでこうやって遊んでたのかもしれない。
162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 20:53:57.42 ID:nOLAyVuT0
佐藤は服についた土を払いながら立ち上がる。
「宮下さん……」
馬鹿な私。涙でぐちゃぐちゃの顔を見せておきながら、恥ずかしげもなくよくそんな事言えたものだ。
163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 22:00:48.76 ID:nOLAyVuT0
「じゃあね」
私は踵を返す。佐藤に背を向け、逃げるように歩き出す。ハンカチなんて意味ない。優しくするな。
「宮下さん……」
164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 22:10:59.33 ID:nOLAyVuT0
その夜、私は武ちゃんに電話した。まず、電話を無視したことを謝った。
美香ちんを振り切って逃げたことに対しても謝った。
そのお詫びに、武ちゃんの好きなものを一個買ってあげることを約束したら許してくれた。
165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 22:25:01.91 ID:nOLAyVuT0
悩ましいため息が電話越しに聞こえる。
『親子の度の過ぎるスキンシップだと思えば……』
「いやあれは……!」
166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 22:37:18.97 ID:nOLAyVuT0
その日、その曜日。
私は、いつもより早く起きて、電車に乗った。それが間違いじゃなかったことを証明してやる。
「武ちゃん、あんたスカートの下にジャージ履かないでよ」
167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 22:53:08.62 ID:nOLAyVuT0
極力不自然のないように、私は周囲に目を見張る。
電車が完全に止まる。先頭の一人がタッチダウンを決めるアメフトプレーヤーのように、容赦なく満員電車に突っ込んでくる。ほかの乗客もそれに続く。
「うおっ……」
168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 23:16:42.84 ID:nOLAyVuT0
電車が発車する。私は武ちゃんと目配せする。
私たちは現行犯でとっちめるなどと、そんなことは考えちゃいなかった。
男の方を見る。やはり、そいつだった。
注意して見ると、文庫本がカモフラなのはバレバレだった。
169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/01(日) 23:30:28.73 ID:nOLAyVuT0
隣を見ると、武ちゃんがキョトンとしていた。
その顔は、どうやって会話しているの? って顔だな。何となくだよ。
(さて……)
170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/02(月) 00:06:11.49 ID:Gs7r4rJ90
改札を抜けると、親父は人並みをかき分けるように私たちから遠ざかっていく。まずい、はぐれるわけにはいかない。
親父をできるだけ視界から外さないように、私と武ちゃんも人を押しのけて階段を上っていく。誰かに怒鳴られたが気にしない。
「っ……」
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