過去ログ - 女「じゃあ、一緒に帰ろっか」
1- 20
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/11(月) 01:06:58.03 ID:Bw6Z329mo

 彼女は俺のそんな反応すらも楽しんでいたのだと思う。

 俺と彼女は、フェンスを背に、並んで座り込みながらも、ほとんど言葉を交わさなかった。

 ときどきどうでもいいような質問をぶつけあったり、どうでもいいような話をしたり、本当にそれだけだ。

 それ以外の時間はだいたい音楽を聴いて、ぼんやりと空を眺めていた。隣り合って座りながら。

 それは少なくとも俺にとっては幸福な時間だった。
 ふわふわと浮ついて音楽に集中なんてできなかった。

 隣に座る佐々木が今どんなことを考えているのか、そんなことばかりが気になっていた。
 けれど俺はちゃんと知っていたのだ。最初から。佐々木が俺のことなんてなんとも思っていないということを。

 そうじゃなかったら、彼女がそんなふうに平然としていられるはずがないのだから。

 あるいは本当はそんなことはなくて、彼女も俺のことを憎からず思っているのかもしれない。
 でも、そう考えてしまった後には必ず首を横に振る。
 両方の頬をぱちぱちと叩く。目を思いきり瞑ってから、もう一度開き直す。
 
 そうでもしないと妙な勘違いをしたまま、佐々木のことをひどく傷つけてしまいそうな気がした。
 あるいはそれは単なる言い訳で――俺は期待と表裏一体の落胆が怖かっただけなのかもしれないけど。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
351Res/224.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice