過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/11(月) 20:34:51.21 ID:foU1KJOC0
連合艦隊旗艦の魂と戦力を受け継ぎし艦娘長門は、すぐさま次弾の発射態勢をとる。
 だが、ル級とていつまでもその動きを止めているものではない。
『――ッ!』
 咆哮を上げながらも高速機動を開始し、次弾を回避することに成功する。
 着弾による衝撃波でクレーターの如く陥没する海面を尻目に、残る全砲門が長門に向けられた。
 その動きとは対照的に、長門は微動だにせずその場へ立ちつくすのみだ。
「くるがいい……!」
 そう呟くのと同時、ル級の砲門から一斉射撃が放たれる。
 左半身の消失により、全火力の半分を失ったとはいえその火力は圧倒的のひとことだ。
 流星の如く降り注いだ砲弾が次々と長門に着弾し、爆炎と衝撃波で巻き上げられた海水がその姿を覆い隠す。
『――ッ!』
 ル級が再び上げた叫びは、勝利を確信したことによる歓喜のものであったか。
 だが――、
「長門型の装甲は伊達ではないぞ!」
 瀑布の如く降り注ぐ海水の中から、傷ひとつない長門がその姿を現した。
 すでにその主砲は狙いを定められ、主の命令を待つばかりとなっている。
『――ッ!』
 今度ル級が上げた叫びは、まぎれもなく恐怖からくるものだ。
 敗北を確信した深海棲艦は素早く身を翻し、逃走に移ろうとするが、それを見送る長門ではない。
「全主砲、斉射! 撃て!!」
 艤装が生き物のようにうごめき、向けられた砲塔から一斉に火が放たれた。
 敵の攻撃に身をさらしながらも照準修正を続け放たれた、狙い澄ましの一撃である。
 この攻撃から逃れる術などあるはずもなく……。
 戦艦ル級は木端微塵となり、大海の藻屑と消え果てたのである。



 ――数年後。
 長かった残暑もようやくひと段落したものか、心地よい秋晴れを浴びる横須賀鎮守府の一室で、長門は書類と格闘し続けていた。
 あの日――。
 長門の艤装に認められ、新たな力を授かった彼女に待ち受けていたのは、書類地獄という名の新たな戦場であった。
 司令部曰く、連合艦隊の象徴でもある長門は来るべき決戦の時まで温存しておきたい。
 司令部曰く、そもそも、一度の戦闘でこれだけ資源を貪り食われたのでは、割に合わない。
 艦娘の艤装とて、何もないところからあれだけの戦力を発揮するわけではない。
 当然、力の代償として相応の弾薬や燃料などを妖精による経口摂取という形で補充することになるわけだが……。
 長門の艤装に住み着いた妖精たちは帰投するやいなや、輸送船に満載されていた物資を食いつくしてしまったのである。
 あの時、妖精たちが鋼材や弾薬を文字通りむさぼり食う様を見つめていた乗組員たちのなんともいえぬ表情を、長門は生涯忘れることができないであろう。
「結局、長門の名を持つ者はこうなる宿命なのか……」
「まあまあ、わたしだってつきあってるんだから、ね?」


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